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行政法を軽く勉強しました。
伊藤塾の行政法入門の本を斜め読みですが、読んでみた。
伊藤塾とはなんでも司法試験の予備試験の合格者占有率が高いということで有名な法律塾だそうです。司法試験には現在2つの方法で弁護士になる道があり、一つは法科大学院を卒業してから司法試験受けるパターンと、もう一つは予備試験を受けてから、司法試験を受けるというパターンのようです。前者は1回ですが、後者は2回であり、全体的に後者の方が難しいと言われているようです。詳しくは知りません。
さて、行政法とは六法ではないというのは迂闊にも知識化できていませんでした。六法とは法律の代表的なものであり、憲法、民法、刑法、商法、民事訴訟法、刑事訴訟法の6つのようです。行政法はないわけですね。それにもかかわらず行政法は重要な法律であるが、体系化がされていなく(法律家や研究者個人のレベルでの体系化はなされているかもしれませんが)、アドホックな法律として一種独特の領域のようでした。
伊藤先生の面白い指摘は日本国憲法は英米系の理念型であり、行政法はドイツやフランスといった大陸法の影響が強いという指摘でした。日本の法律は折衷的なんですね。英米法は慣習や判例を重視する体系ですが、大陸法はカッチリ条文で明文化するという違いがあるそうです。行政法も明文化をある程度目指すものの、ふんわりとした感じで決めて、あとはガイドラインなどで要件を定めているという運用をしているようです。(法律議論をする時には、法律は明文化しないといけないという人が多いんですが、必ずしもそうではないと思うのですが・・。)
また行政訴訟の代表例として、取消訴訟について書かれていました。行政の処分に対して、異議があったら裁判に訴えても良いよ、という制度ですが、裁判の訴え方が民事訴訟と行政訴訟どちらか選べるケースがあるようで、必ずしも行政訴訟だけが方法というわけではないようでした。場合によっては裁判所は受理しないケースもあり、それについては裁判を受ける権利は誰でもあるのに、といった指摘は目から鱗でした。
私個人の意見としては伊藤先生が取り組まれているような一人一票の問題ってそんなに問題なんだろうか?ということがあります。日本は行政区分として、47都道府県があり、それぞれが対等に存在しているのだから、その構成員の多い少ないというのは現実問題やむを得なく、一票の格差が出るのはなぜそこまで問題なのかよくわからないんですね。そもそも一人一票の格差がダメなら、人口比に合わせて行政区分を変えた方が、現実的に受けることができる福祉も平等になるのではないかと思います。なぜ一人一票問題だけがこんなに支持されているのだろうか、と不思議な気持ちです。一人一票問題が進むと地方は切り捨てられても仕方がないといった風潮を加速させるのではないかと不安です。能登半島の地震や豪雨災害を想起するまでもなく、大災害に見舞われた地方は住んでいる人が比較的少ないので、民主主義として合法的に切り捨てられるような部分があるのではないかと思うのが残念なところでした。言ってみれば、一人一票は都市化を促進しますが(人口の多い都心が有利なので)、その帰結は日本国全体の弱体化ではないでしょうか。