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TRUMPシリーズ「 黑世界」 と「LILIUM」 のぶっとび考察

鞘師里保主演 芸能界復帰第1作ということで一部で話題だった今作「黑世界」。全公演も終わったし感想というか、あれこれってこういううことなんじゃなのと考えたことを書いていこうと思います。といううかめっちゃ言いたい欲求があるのですが、共有できる人が誰も居ないので、noteに始めて書く次第です。

ちなネタバレめちゃありです。

最近になってハロプロにハマりその勢いで今年TRIUMPシリーズにもはまってしまったのですが、何でもハマりたてというのは楽しいもので、いろいろと調べたり皆の感想とかを見たりして、ああ仕事をする時間が足りないなどと嘆いております。

2020年10月現在「Cocoon」の「星ひとつ」だけまだ見れていない状態ですが。存分にTRUMPシリーズの世界を楽しんでいます。

TRUMPシリーズは個々の作品がそれぞれ面白いのはもちろんのこと、その一番の醍醐味は、永遠を生きるヴァンプの人生の壮大な物語が前提としてあることです。そしてそのなかの僅かな時代(永遠を生きるヴァンプにとっては)に交錯する人々が織りなすドラマが個々の作品という構造をしています。なので必然的に各作品はそれぞれ微妙に関連していたり、時にはほか作品の重要な要素が提示されていたりするので一度見た作品でも他の作品を見たらもう一度見返したくなる。そういう魅力がこのシリーズにはあります。

故に考察したくなる要素がたくさんありココを掘っていくのがオタク的でちょーーー楽しいです。

(以下、シリーズほか作品ふくめ盛大にネタバレします)

で、「黑世界」ですが。全体としてはオムニバス形式でリリーの生きた100-200年を見せるのは良いなと感じました。悠久の時を生きるリリーの心情が感じられるエピソードがおおく、世界観が広がってとてもたのしかった。またソフィ(ファルス)とは違う生き方(狂わない)を提示シていくリリーの話でもあったと思います。

このソフィと違うというのは重要な要素なのだと思います。今後もおそらくソフィとは対象的に描かれるであろうリリー。このあたりは大きな物語の根幹に関わる主題になるのではと個人的には思っています。

何が対象になっているかというと “人とともに生きるリリー” と “孤独に生きるソフィ"とです。

作劇上見てたらそう感じるようには出来てるんですが、ソフィが孤独に生きなきゃいけないのはじつは明確な理由があり、これはリリーのイニシアチブの呪いのせいです。これはLILIUMのラストでリリーが擬似クランの全員を殺すときにソフィ(ファルス)にむかって「孤独に生きろ!」と言うのですが、その時イニシアチブで命じたときの効果音(ピィィィンみたいなやつ)がちゃんと鳴ってとなっています。

こういう呪いめいたイニシアチブの使い方ってグランギニョルのラスト(あれは呪いと祝福両方でしたが)が初めてと思っていましたが、じつはLILIUMで既にやっていたというのは今回見返してわかりました。びっくりしました。

でなぜリリーのイニシアチブがソフィに効くのかですが、リリーとソフィーはヒエラルキーは同等と「LILIUM」の終盤でスノウが腹を刺さた瀕死の状態にもかかわらず解説してくれてます。リリーは「黒世界」でイニシアチブを持っているソフィを探すと言っていますが、ヒエラルキーは“同等"なのでもしかするとソフィが死なないとリリーも死ねないのかもしれません。

では逆にリリーだって不死者なので孤独には変わらないのじゃないか?と思うかもしれませんが、違うのです。それはリリーが人と出会いときには人に寄り添い生きていくからというのもあるのですが、それだけでは決してないのです。日和編のラストでは人と深く関わることを後悔する姿を見せる場面もあります。そういう意味ではリリーだって孤独なのです。

それでもリリーが孤独でない理由。ここがソフィとの決定的な差であり。おそらく物語終盤の大きな仕掛けになると思います。そしてそれは今作で出てきたチェリーの存在が大きなヒントになっています。

「黑世界」のチェリーはリリーが作り出した幻影。ある種のイマジナリーフレンド的な存在として描かれています。しかしこのチェリーですが、幻影なのではなくじつは“あの"チェリー本人なのです。つまりLILIUMのチェリー。

根拠はなんじゃい?という話ですがココでもう一つヒントがあります。それは日和編のメインストーリーであるラッカとノクの話。第4話「血と記憶」でリリーとノクは坑道の岩盤の崩落で潰されてしまいます。しかし当然のことながらリリーは再生します(ちなみにここの再生時の鞘師の体の動き流石です。めっちゃ再生してる風に見えます)。その際ノクの血が混ざり込んでリリーの中で意識が再生されるといったくだりがありました。

これめちゃ重要です。

リリーが再生時に他の死者の血が交じると意識がリリーの中で再生されるのであるならばノク以前にその経験があるのです。

そう疑似クラン崩壊時です。あのときリリーはソフィ(ファルス)と同等のヒエラルキーであり、そのイニシアチブをもってクランの仲間たちを自害させました。そして自分も短剣で自害しようとするのですが、はからずも不老不死となり体が再生してしまい一人生き残ってしまいます。つまりこのときにクランの仲間たちほぼ全員の意識がリリーの中に存在している可能性があるのです。というか存在しているのです。

なぜ確信的にそう言えるのかと、じつは「黑世界」に状況証拠というか手がかりのようなものがちらほら見えているのです。

手がかり①   「涅槃像」と「バタンキュー」

この2つLILIUMで印象的なセリフというかギャグですが、「黑世界」でもリリーが言います。はじめはファンサービスだと思っていましたが、上記の仮説を立ててから考えると、手がかりにみえて仕方ないのです。ただのファンサービスならリリーがやらなくてもいいのです。特に「退屈すぎて涅槃像」はシリーズ他作品でも使われてるので、他のキャラがやっても構わないわけです。リリーがやるということに実は意味があるのではと思っています。カトレアとマーガレットはリリーの中に居るということですねw

手がかり② シルベチカの夢

日和の章の冒頭。リリーは昔の夢を見ています。そのなかで「シルベチカはどこ?」とシルベチカを探しているときに紫蘭と竜胆が出てきて起きる。と言ったシーンだったと思います。シルベチカを探すのは一見するとLILIUMの時代の記憶が想起されているように見えますが、実はこれもミスリードです。さきほどクランの仲間たちほぼ全員の意識がリリーの中に存在しているといいました。なぜ“ほぼ"かというとシルベチカが居ないのです。

リリーの意識下で存在できる条件はリリーが再生時に血が交じること。つまり一緒に死ぬことなんですが、シルベチカだけはこの条件に当てはまりません。というのもシルベチカだけ疑似クラン崩壊時より以前に亡くなってるからです。だからリリーの意識には存在せず。夢の中でリリーは自分の中に居ないシルベチカを探していたのです。ちなみに紫蘭と竜胆は夢に出てきてるのでリリーの中に居ると思っていいでしょう

これが不死者の裏ワザなのかなんなのかわからないですが、個人的にはこれがリリーの繭期の特殊能力だと思っています。他人の意識を自分の中で生き続けさせる能力。これだと死生観を表現するときのメタファーとして機能するし(よくある「私の中であの人は生きてるの」みたいなもののメタファー)他人を思い続けられる能力。まさにソフィができなかった能力ですしね。対比として丁度いい。

もちろん個人の妄想で、ともすると二次創作レベルの妄想ですが、少なめの手がかりですが無理なく説明できてるような気がするので割と気にいっています。

しかしひとつだけ不明確なことがあって、リリーの中にマリーゴールドはいるのか問題というのがあります。マリーゴールドは集団自害の前にソフィ(ファルス)によって燃やされて灰になっています。一応遺体(灰)は集団自害の現場にあるからリリーに入ってる判定あり?とか思いますがここはわかんないです。

いつかリリーがソフィ(ファルス)と邂逅するときクランの全員分を背負って(もしくはイタコのように一人ずつ出てきて)ソフィに復讐すると考えると楽しいです。TRUMPシリーズは基本残酷に終わって欲しい(大ラスは後味悪いの嫌だけど)のでリリーを介して全員分の恨みを受けてソフィには苦しんで死んでほしいです。(ソフィは好きなキャラです。)とくにマリーゴールドあたりにやられてほしいです。マリーゴールドは恨みパワー強そうなので。

補足説明的になりますが、もしこういうシチュエーションがあれば、リリーの意識の中の彼女たちが実際のクランの仲間たちだったと証明できる事柄があります。それは「黑世界」のチェリーが自分がダンピールであるということを告白することです。なぜならチェリーがダンピールであることは「LILIUM」劇中では隠されておりリリーも知らないはずだからです。チェリーがダンピールという設定もココに来て作劇に十分使える伏線になっているのもすごいですね。チェリーの言動にも注意ですね。

「黑世界」でちゃんと考えれてないのがシュカの存在なんかもうちょっと役目があるのかなとおもったけどリリーを起こした。ウル全部飲んだ。ぐらいの人。このへんなんか思いついたらもう一回ぐらいnote書いちゃうかも。

以上自分が「黑世界」を見てそして「LILIUM」をみなおして思いついちゃった妄想をつらつらと書きました。ただそんなことよりもほんとに作品が純粋に面白かったので色んな人に見てほしいと思いますし、よしんば色んな人が繭期になれとはおもっていますがw


最後にプチ情報

カーテンコールのとき客席に向かってキャストお辞儀しますが鞘師は祈りのように両手を胸の前で合わせて少し膝を折るタイプの独特なお辞儀をします。これはLILIUMのときの少女役のキャストのお辞儀なのですが厳密にはハロプロ出身者(or LILIUMのとき少女役だった)だけがするお辞儀です。役ではなくキャストで決められているようです。その証拠にマリーゴールドのとき、めいめい(田村芽実)も同じ祈りタイプですが紫蘭と竜胆役のキャストの方はスカートの裾を持って広げるタイプのお辞儀でした。こういう細かいところも面白いですね。


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