「ᠪᠢ ᠪᠥᠯ ᠮᠣᠩᠭᠣᠯ ᠬᠦᠨ (Bi bol Mongol hun)」 (私はモンゴル人)
ここ数日、落ち着かない。
自分の故郷である、中国内モンゴル自治区で、小・中学校のモンゴル語教育が廃止になるのだ。
中国では新年度に当たる9月1日に、内モンゴル自治区でモンゴル語教育を行っていた小中学校の国語(モンゴル語)の教科書が、中国語の教科書に変わった。
国語というと、「国の言葉だから中国語じゃん」って言いたくなる人もいるだろう。
だから、中国では「国語」ではなく「語文」と表記している。
まあ、つまりは言語の授業といった具合だ。
僕のnoteを見てくださっている多くの方が、日本人であり、内モンゴルに対して知っている前提条件がバラバラであることを考えると、どこから説明した方がいいのか悩んでいる。
中国は56の民族からなる多民族国家である。
その中には、全人口の94%を占める漢人や、イスラームを信仰するウイグル人、チベット仏教を信仰するチベット人、そして僕が属すモンゴル人、そのほかにもたくさんの民族がいる。
ただ、漢民族だけで94%以上を占めていることもあって、漢民族以外の55民族のことを少数民族と呼ぶ。でた、マイノリティだよ。
この時代、世界では多様性を大事にし、マイノリティを尊重するようになってきた。
でも、中国共産党はその真逆のことをしている。ちょっとこの単語を書いて、当局に注目を浴びたらどうしようと考えたりもするが。
それぞれの民族が持っている言語(文化の根幹)を潰して、漢民族との同化を図っている。
まあ、5000年続く歴史の中で、ずっと同じようなことを繰り返している。
これに対して、内モンゴル自治区のモンゴル人たちが抗議をしている。世界中のモンゴル人も声を上げている。みんな、どうかそれに気づいて。。。
ここまでが概要の部分である。
僕は、7歳まで内モンゴルで育ったが、義務教育から大学に至るまでずっと日本で教育を受けてきた。だから正直いうと、モンゴル語教育を受けていない。
母親の並ならぬ努力で、モンゴル語はなんとか簡単な日常会話を話せるぐらいである。
大学はそんな生い立ちもあってモンゴル語専攻に入学した。ちゃんと勉強してこなかったが。(これについては、別でまたちゃんと書きたい)
そうやって、ろくに教育も受けたことがない息子を血の滲むような努力を持ってして、自分のアイデンティティを忘れさせないためにモンゴル語を教えてくれた母親と、久しぶりに昨日ビデオ電話した。
僕の顔を見るやいなや、母は泣いた。
そこには、いろんな感情があっただろう。
久しぶりに息子の顔を見られた安堵(まあ、週に1度は必ず電話するので久しぶりでもないのだが。。。)
自分の息子がちゃんとモンゴル語で会話できていること
自分はモンゴル人として次の世代にちゃんと伝承したこと
モンゴル人が今再び虐げられている怒り
本当にいろんな感情だったと思う。
そんな母の涙を見て、僕も泣いた。
訳わからないくらい泣いた。
自分の不甲斐なさを責めていた感情が大きかったと思う。
でも、それも自分にモンゴル人としての自覚があったから流せた涙だったと思う。
正直、今この文章を書きながらも、何度も視界が滲んでいる。
僕はモンゴル人だ。
確かに中国のパスポートを持っているし、その恩恵も受けてきた。
それでも身体に流れるこのあつい血は、感情は草原の民のモノだ。
タイトルの
「ᠪᠢ ᠪᠥᠯ ᠮᠣᠩᠭᠣᠯ ᠬᠦᠨ (Bi bol Mongol hun) 」というのはモンゴル語で「僕はモンゴル人」という意味である。
*モンゴル文字の表記がちょっと違うんですけど、今のところの知識では表記できませんでした。。。ᠭᠥでちゃんと点々がつくはずなんです。。。
草原の民は負けない。
僕も負けない。
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