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「理解できないこと」にこそ、素晴らしさがある

教師を長く続けていると、「子どもたちとの距離感」みたいなものを感じることがあります。

「心の・・・」というよりは、「文化の距離感」でしょうか。

・アニメやキャラクター
・アイドル
・音楽
・ゲーム
・マンガ
・言葉づかい

などなど、「ついていけない・・・。」なんて表現されがちなもの。

「生涯聞き続ける曲は、青春時代に聞いたもの」なんて言われるくらい、ぼくたちの価値観というのは、意識的にアップデートしなければ、いつしか、こりかたまってしまいます。

そんなことを感じるのも、「教師」という職業”あるある”でしょう。

ただ、「理解できないからといって避けてはいけない。」と強く思います。

思い起こせば10年前、係活動の時間。

「イラスト係」を立ち上げた一人の男の子がいました。

活動内容は、「当時人気だったアニメキャラを描く」というもの。

もちろん、係を立ち上げる位ですから、「イラストを描く」ことは彼にとって楽しいことに違いありません。

しかし、係活動は、思わぬ方向へ進んでいくのです。

▼「イラスト」が、まさかの世界をつくりあげる

その彼の担任であるぼくの仕事は、彼が描いてくる「イラスト」を職員室のコピー機で増産するこでした。

「このキャラを3枚で、これを5枚。そして、これは2枚。」

というような指示を受け、たびたび階段を上下してせっせと職員室へ通っていました。

しばらくすると、「イラスト係」に「アシスタント」が現れたのです。

どうしたことか?と聞いてみると、

「イラストが人気過ぎて、新キャラが間に合わなくなったから、お手伝いをやとったんだ。」

ということ。さらに、

「お手伝いをしてくれた人には、給料(もちろん、手作りのお金)をはらって新作を買いやすくしたんだよ。」

ということに。

なんと、無料で配っていたイラストは、いつしか「お金をはらってまで手に入れたいもの」に進化したのです。

そこら辺からクラスの雰囲気は一転。

ひっきりなしに入れ替わるアシスタント。

マグロのせりを思わせるような活気あふれる新作販売会。

コレクター同士で行われるトレード。

瞬く間に、かれの「イラスト」は、ぼくのクラスの「通貨」となっていったのです。

その「通貨」の破壊力は、さらに広がっていきました。

かれが一人で立ち上げた「イラスト係」は、いつの間にか数人の「契約アシスタント」をかかえる総合商社となり、クラスの「イベント開催」も牛耳っていました。

「イラスト係」主催の「夏祭り」は、これまでに「イラスト」を介して出回った「オリジナル通貨」で運営されていたのです。

資産価値の高い「イラスト」を持っている子どもは、ゲームやりたい放題。

今となっては、どっかで見たことがある世界観だなとも思うのです。

▼「理解できないこと」の素晴らしさ

このような子どもたちの世界観に、ぼくは一ミリたりともアドバイスはしていません。

当時は、子どもたちと「文化の距離感」が近かった若手でしたので、「なんでもやったれ!」という気持ちで後押ししたのみ。
#イラストのコピーだけはがんばった

ただ、今になって言えるのは、「イラスト係がここまでオリジナルな世界をつくり出すなんて思わなかった。」ということ。

逆に言えば、ぼくが何のアドバイスもしなかったからこそ、この世界観ができあがったのです。

そう考えると、「大人」が子どもたちの活動をあーだこーだ判断したり、よかれと思ってアドバイスすることは本当に可能性を伸ばすことにつながるのか自信がなくなってくるところ。

もちろん、「助けて・・・。」と言われたら、快く手を差し伸べてあげる心意気はありますが、ぐいぐい自分の価値観を押し付けるということは、子どもの可能性の芽を摘むことになるかもしれませんよね。

そう、大人にできることは、子どもの「やりたい!」を全力で応援することだと思うのです。

そんなこんなで、エントリーしました。

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人生において一番わくわくするのは、「スタート」でしょう。

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あなたのご参加を、お待ちしております!!

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