なぜ、相手のためを思ったアドバイスが聞き入れてもらえないのか
「これはあなたのためを思って言っているんだ。」
とどれだけ熱を込めて伝えても、全く伝わらないなんてことありませんか?
こんな僕でも若手教員時代は、「子どものために!」と燃えていた頃もありました。
勉強だけでなく、生活面についても、「もっとできるはず!がんばれ!」と心の底からエールを送っていました。
しかし、そんな熱風も子どもたちのフィルターを通すと爽やかなそよ風となって右から左へと通り過ぎていく。
当時は、「これだけ言っているのに何で伝わらないんだろう…」と思い悩んだものです。
その理由は至極簡単で、
という問題点があったのです。
本記事では、「話を聞いてもらうための鉄則」的な内容を紹介します。
相手のためを思ってするアドバイスであれば、折角なら聞いてもらいたいもの。
ぜひとも、アドバイスをちょっと工夫してみてくださいね。
▼ぼくたちは、「ポジティブ情報」しか聞きたくない
まずは、前提からはっきりさせておきましょう。
例えば、あなたがあるテストを受けたとして。
明確な点数は発表前なので分からないのですが、テストを受けた時の手ごたえが「割とできた気がする時」と、「全然できなかった気がする時」。
さて、どちらの結果を知りたいと思いますか?
きっと、多くの人が「できた時の結果を知りたい!」と主張するでしょう。
このように、ぼくたち人間は、
という特性があるのです。
「#事実はなぜ人の意見を変えられないのか」に、おもしろい実験が紹介されていました。
ターリ・シャーロットさんらは、実験参加者が見つめるコンピューターに「赤いドア」と「青いドア」の2つのドアを映し、「どちらのドアの向こう側を見たいか?」選んでもらいました。
ドアの向こう側には賞金があるという設定です。
賞金額はいろいろあったのですが、毎回同じだったのは、「赤いドアに隠れた賞金の方が、青いドアの賞金よりも高い」という条件でした。
さて、実験参加者がどちらのドアを覗くかを調べてみると、
というのです。
要するに、ぼくたちは、「よりポジティブな情報を好む」ということ。
なるほどなーと思うのですが、この実験、裏を返せば、
「知りたくないネガティブな情報から目を逸らそうとする」
という側面があることも示唆しています。
例えば、「飲み会後のラーメンは身体に悪いと知っているのに食べてしまう」というのはどうでしょう。
「定期的な健康診断をした方が良いと知っているのに避けてしまう」なんてのはどうでしょう。
このような見て見ぬふりパターンは、ぼくたちの日常生活にあふれかえっています。
「現実が突きつけられるのが怖い」なんて思う気持ちも分かります。
ただ、その「現実」があるからこそ、「対策」が取れる訳で。
本当なら、少しでも早く知っておいた方が良いネガティブもあるはず。
しかし、ぼくたち人間はどうしてもポジティブ情報収集に努め、ネガティブ情報は、見て見ぬふりをしてしまうのです。
▼相手に話を聞いてもらう方法
「ポジティブな情報しか聞きたくない」という特性がある人間。
だからこそ、「あなたのためを思って…」というアドバイスは、相手にとって時にネガティブな情報となる可能性を秘めています。
もちろん、アドバイスをする側としては、「よりよくしてあげたい!」という善意であることは分かります。
ただ、何事も「相手がどのように捉えるか」が全てであり、「自分がどういう思いで伝えているか」は、相手にとってはそれほど大きな問題ではないのです。
そんな人間あるあるを加味した上で、それでも相手のためを思ったアドバイスを伝えたいのであれば、
をイメージできるように伝える必要があるのです。
さらにテクニックを上乗せするのであれば、
というように、「既にあなたのレベルはかなりいい感じだよ」というメッセージを付け加えるのも吉。
なにせ人間は、「自分はできる!」という感覚が大好きですから、最初にちょっとでも褒められると、「あれ?このアドバイスなら聞こうかな」となってくれる確率が高まる訳です。
もちろん、アドバイスをする人との「関係性」ができた上でのことですが。
ぜひとも、反省を促すような厳しめのアドバイスだけでなく、時に、「できているんだけれど、もうちょっと改善すればもっとよくなるよ!」というポジティブをにおわせたアドバイスも取り入れて見てくださいね。