子どもに「達成感」を獲得させる方法。
過去に、一斉授業の限界を突破するには「グループ学習」が鍵であるという内容を書きました。
考え方を変えれば、学習は「自分を成長させるゲーム」です。そのゲームを、心の底から楽しんでいるのであれば、教師の支援や学校の授業がどうとかは関係ありません。
しかし、そのゲームのシステムが、
「教師から与えられた課題をクリアしていく。」
ものであると捉えているうちは、本来の楽しさを味わうことができません。
大方の子どもたちがそのステージに立てていないため、教師に主導権を与えてしまっているのです。ただこの問題を解決するするのはかなりの時間がかかるので本日はおいておきましょう。
では、何を話題とするのかというと、教師から与えられるものとして学習を捉えている子どもでも、「達成感を十分に味わうことができる戦略」を紹介します。
▶学習に対する立ち位置の変更。
今回も「ゲームにすればうまくいく <ゲーミフィケーション>9つのフレームワーク」著:深田 浩嗣 (NHK出版)を参考にさせていただきました。
教育の理想がこの本の中にはつめこまれています! このように子どもが学習にも取り組めるクラスの授業はさぞ楽しいだろうと妄想しつつ、現実の話題をしていきましょう。
過去の記事でも、学習の上達者がモチベーションをあげるには、自分の力を他者への説明を取り入れるという方法を紹介しましたが、この理論を応用することにより、「だれもが達成感を得る。」ことにつなげることができるのです。
▶達成感のカギは、「他学年交流」。
みなさんの学級では、学年を超えた交流をしているでしょうか。
きっと、1年生と6年生は、かなりの確率で交流をしていると思います。今年度は、難しい面もありましたが、例年通りであれば、中休みの交流から始まり、給食や掃除など、学校生活のありとあらゆることを6年生が、1年生に教える活動を我が校でもしています。
これがなかなかおもしろいのです! 最初は、
「えぇ~。1年生のお世話・・・。めんどくさっ。」
と、言っているような子どもが、実際にペアとなって接してみると、
「何でもお兄ちゃんに行ってね。」
なんて声をかけているのです。
やはり、素直になれないのは高学年あるあるです。しかし、口ではめんどくさいふりをしていても、自分よりか弱い子どもを前にすると、急に
「お兄さん、お姉さんらしく。」
なるのは、6年生を担任した教師であれば、たくさんの賛同を得ることができると思います。
このように社会的な立場を効果的に取り入れることで、
「高学年の子どものモチベーションを暴上げする!」
ことができるのです!
▶「他学年交流」を学習にも取り入れる。
1・6年生の交流は、多くの場合1年生が学校生活に慣れてくると終了してしまいます。
それが、大変もったいないと思うのです。
折角、学校の先輩として優しく接している「お兄さん、お姉さん」を学習指導に生かさない手はありません。
1年生の学習が始まったら、一対一対応の先生役として6年生を送り込むのです。
すると、どうでしょう。
普段は、「先生が出した問題を解けばいい。」と思っている子どもも、
「どうやって説明したら分かってくれるかな。」
と、相手の立場になって考える始めます。
その瞬間、まさに主体的な学習が成立するのです!
「自分が分かっていることを他者に説明するとき」に学習効果は高まりますからね。6年生にとっても、良い学習の機会となるはずです。
この時点で、お兄さん、お姉さんとなった6年生は「教えることの難しさ」を経験しながらも「達成感」を得ているはずですが、だめ押しといきましょう。
それは、1年生からの、「感謝メッセージ」です。
毎回出なくてもかまいません。時間の隙間を見て、「6年生に教えてもらった感想」を文章でまとめておきましょう。
そして、6年生に渡してあげましょう。
「お手紙交換」のような常時活動にしても良いですし、卒業間近、「感謝を伝える会」のような機会に書き溜めた感想を渡すのもありです。
「ペアの○○さんのおかげで、ひらがなを全部書けるようになった。」
「ペアの○○さんの説明が分かりやすかったから、引き算ができるようになったよ!」
などと、書けるようになった文字で一生懸命書いた手紙は、6年生への最高のプレゼントになることでしょう!
「自分が教えたことで、『できるようになった!』」と言ってもらえることは、なかなかない貴重な経験です。
1年生も「学力」を獲得することができますし、6年生は、「自己有用感」という宝物を獲得することにつながるのです!
▶まとめ。
本記事では、「子どもが同士の関わりが子どもを育てる!」という内容の記事をまとめました。
現代の子どもが欲しているのは、「学力」よりも「自信」だと感じています。もちろん、学力ありきの自信ではないかという考えもあるのですが、「自信」を獲得するチャンスはいたるところに転がっています。しかし、そのチャンスを引き寄せる行動は、教師や大人がある程度のサポートをしてあげなくてはなりません。
教師にできることは、多くの子どもたちが「自信」を獲得できるコンテンツを考えて提供することだと思うのです。
多様な子どもたちが集まっている学校だからこそ、「多様なチャンス」を提供したいものです!!