「好き」は、情熱の投資から始まる
「自分らしく生きていく」なんて価値観が生まれ、「ふつう」に囚われることのない生き方が注目を集めるようになりました。
その反面、「自分らしさが見つからない」なんていう新たな悩みの種も生まれたのです。
「自分らしさなんてない」というのが元も子もない結論なのですが、それだけではおもしろくないので、自分らしさを見つけるヒント的な記事を書きました。
ぜひとも、読んでみてくださいね。
▼大切なのはチャレンジ回数
「天職」なんて言葉がありますが、いろいろ調べてみると、自分にぴったり合った仕事を最初から探しにかかると見つからないみたい。
もちろん、「興味がある」とか「得意」という延長線上にあるものであれば、主体性が働いているので、天職に近づけるかもしれません。
しかし、多くの人が「自分の強み」を自分で理解していないなんて問題も出でくる。
「足が速い」とか「英語を話すことができる」みたいな見えやすい強みもあれば、「コミュニケーションがうまい」とか「優しい」といった見えにくい強みもあるため、天職探しにうまく応用できないのですよね。
だからこそ、大切なのは「とりあえずチャレンジする」という勇気。
「運命の相手」も同様で、王子様を待っても都合よく現れてくれないのが人生です。
だからこそ、新しい刺激を自分自身に与え、「あれ?意外と好きなかも」というセンサーを働かせることが、「天職」を見つける方法なのです。
▼「辛い」は「嫌い」ではない
パワハラとかコンプライアンスが叫ばれる昨今、上司と部下の関係性も一昔前とは大分違ってきたみたい。
すぐに辞めてしまう若手が話題になった一方で、仕事の退屈さによって転職を選択する若者もいるのですよね。
要するに、会社側は負荷をかけないように慮るんだけれど、仕事に対してモチベーションがある若手ほど刺激のない毎日に満足感を得られず、自ら進んで負荷の高い場所へ移動してしまうのです。
このような事実から考えると、「主体性をもっていればある程度の負荷に耐えられる」、言い換えれば「負荷がかかってもやりたいことなら続けられる」と言えそうです。
そんな考え方を裏付けてくれる実験がありますので、さくっと紹介しますね。
その実験では、あるクラブに入会するため、「電気ショック」を受けてもらうという儀式を設定しました。
#明日の幸せを科学する
さて、その電気ショックの強さ。
「弱」と「強」の違いがあったのですが、どちらの強さで食らった人の方が入会したクラブに対して強い愛着をもったでしょう?
この結果がおもしろい。
なんと、「強い電気ショックを食らった被験者ほど、入会したクラブへの満足度が高かった!」というから意外じゃないですか?
なぜこなような結果になったのかというと、「ひどく辛い思いをして入った」という経験が関係していたのです。
みなさんも覚えがあると思うのですが、過去の辛かった経験が、今では良い思い出になっていたりしますよね?
これは「あれだけ辛かったんだから、せめて良い思い出にしておこう!」という、一種の防衛本能が働いているから。
脳が気を利かせてくれているのですね。
このような便利機能は日常の様々な場面で見られます。
別の実験で、「退屈な作業をしてもらって報酬を与える」というものがあります。
その報酬ですが、グループによって「高い」、「安い」の違いをつけました。
さて、どちらの報酬をもらった人の方が、退屈な作業に対してより価値を感じたでしょうか。
普通に考えたら、より高い報酬をもらったほうが作業への満足度が上がりそうですが、結果は真逆でした。
なんと、安い報酬をもらった人のほうが単純な作業に対して価値を見出す傾向が強かったのです。
これは、「自分の大切な時間を割いたんだから、せめて価値がある体験だと思いたい」という防衛反応の現れとして知られています。
命の時間を無駄にしたという事実は、やっぱり認めたくないですものね。
▼誰しもが自分の価値を認めたい
なんともおもしろい人間模様ですが、共通して言えるのは、
「僕たちは、自分自身に価値があると思いたい!」
ということでしょう。
どのような苦境に陥っても、自分自身を信じている人は、目の前の出来事に価値を見いだすことができるのです。
反対に、自分自信をまだ信じきれていない人は、他者からどれだけ称賛されたとしても満足できません。
「自分の幸せは自分で決める」なんて言われますが、まさにその通りなのですね。
少し話はズレますが、「イケア効果」なんて聞いたことがありますか?
あの青と黄色が特徴のお店から来ている「自分で作ったものに対して特別な愛着が沸く」という心理効果のこと。
これも、自分自身を特別扱いしている証拠。
プロが作った完璧な作品よりも、苦労して組み立てたがたがたの家具の方に価値を見出しやすいのです。
AIが民主化され、素晴らしい作品が巷にあふれかえった現代では、ますます「イケア効果」が強くなるかもしれませんよね。
このような心理効果からも分かるのは、
という視点なのです。
「情熱」と言うと、若干抽象的ですが、「時間」と言い換えても良いでしょう。
そして、投資した「時間」の中に、叱られたり、断られたり、失敗したり、やり直したりと、様々な困難が含まれる。
そのような困難に直面してもやり抜いたという経験こそ、「好き」になる絶対的条件なのです。
「天職」の話に戻ってくると、「天職」と言うのは、
「どれだけその仕事に対して情熱を投じたか?」
という視点が欠かせないのです。
だからこそ、「給料」とか「楽さ」みたいな視点を重視して選んでしまうと「こんなはずじゃなかった」となってしまうかもしれません。
▼まとめ
本記事では、「『好き』ってのは、どれだけ自分を投資したかによるよ」という内容をまとめました。
多様性が叫ばれる時代だからこそ、可能性が広がる反面、「好き」を見失う人も多くなるでしょう。
一昔前は、「自分が好きかどうかなんて考える前に働け!」という流れもありましたからね。
「長時間頑張れる人」がもてはやされた時代から、「自分のために働く時代」へシフトした現代。
あれやこれやと考える前に取り敢えず動いてみるという「好奇心」と「勇気」が現代を生き抜く上での最大の資質なのかもしれません。