バラの歴史からみたマリア様がみてる「ウァレンティーヌスの贈り物(後編)」と「コウシンバラ」
ごきげんよう、はねおかです。
今回はウァレンティーヌスの贈り物(後編)です。
ウァレンティーヌスの贈り物(後編)は、バレンタイン企画である三薔薇さま方のデートの様子を描いた「ファースト デート トライアングル」、前編の裏話に繋がる「紅いカード」、水野蓉子さまが主役の「紅薔薇さま、人生最良の日」の三つの話で構成されます。
今回フューチャーしたいのは、「紅薔薇さま、人生最良の日」です。
一言で説明すると、「風邪と生理と胃痛と大学受験が重なった人生最悪の日である水野蓉子、彼女がフラフラになりながらもリリアンに向かう理由とは―」
生憎と男である僕には生理がどれだけ大変なのかは分かりませんが、あの水野蓉子さまをしてトイレから立ち上がれなくなるのですから、相当お辛いのでしょう。
僕も貧血と満員電車のパニックで目眩を起こして駅で倒れたことがあるので、その点では辛さが分かります。
さて、今回紹介するバラはコウシンバラです。
敢えて「ロサ・キネンシス」と書かなかったのには理由があります。
コウシンバラは、中国から渡来したバラの一つで、コウシンの名は「庚申」と書き、庚申月(かのえさるのある月、すなわち旧暦の九月)にも花が咲くことに由来します。
他のバラはおおむね六月頃には咲き終わってしまいますが、このバラだけは夏至を過ぎてもなお花を咲かせます。
コウシンバラがいつ頃日本に渡来したのか?
これについては詳しく分かっていませんが、昔の文献にその存在が確認できます。
ここにでてくる「さうひ」がバラの事で、植物学者の白井光太郎は、この歌にでてくる「さうひ」をコウシンバラではないかと推測しています。
また、源氏物語にもバラは登場します。「賢木」と「少女」の巻の二箇所で、春秋に咲くバラを描写しています。
これはコウシンバラに見られる四季咲き性の特徴です。
園芸文化が庶民のレベルにまで広がるのは江戸時代になってからで、ツツジやボタンなどが親しまれ、名所となった場所には多くの庶民が訪れたと言われています。
ここでもバラは親しまれ、ナニワイバラ、モッコウバラ、そしてコウシンバラも知られています。
江戸時代の植物図鑑である「本草図譜」には、十五品種のバラが掲載されており、ノイバラなども掲載されています。
本草とは、薬の元になる草のことで、今で言うところの薬用植物学に相当します。
では、コウシンバラにはどんな薬効があるのでしょうか?
ここでは、半分開いた花を生薬として用いると記載されています。
月計不順は月経不順のタイプミスでしょうから、なんと、生理痛で悩んでいる蓉子さまにはピッタリではありませんか。
話をマリみてに戻しましょう。
風邪に生理に貧血に、と、トリプルパンチを受けてフラフラの蓉子さま。
そんな彼女の生理痛をも吹き飛ばしたのは、一般生徒で賑わう薔薇の館。
未来のロサ・キネンシスが呼び寄せた、奇跡の薬効。
なんてオチはどうでしょうか。