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植物好きの視点から読み解く創作物の植物~第1回「やがて君になるのオープニングについて」
ごきげんよう、はねおかです。
今回は少し嗜好を変えて、植物と創作物の作品を見ていきたいと思います。
(続くかどうかはさておいて)第1回の今回は「やがて君になる」のアニメ版オープニングです。
やがて君になるは、副題として「Bloom Into You」と書かれています。
Bloomというのは「花が咲く」という意味の単語ですね。
さて、原作漫画では、表紙には一切花が出てきません。
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対して、アニメ版のオープニングでは、色々な植物が出てきます。
植物には花言葉があり、これは1800年代にシャルロット・ド・ラトゥールという女性が「Le Langage des Fleurs(フランス語で「花言葉」という名前)」という本を出版する際に、270以上もの花言葉を命名しました。
日本では明治時代に伝わったとされ、当初は海外の花言葉をそのまま使っていたそうですが、日本独自の花言葉も考案されていきます。
ちなみに、日本ないし世界で花言葉を公的に決定する機関というのは存在しませんので、各国が好き勝手に名付けています。
では、やがて君になるのオープニングに登場する花を見てみましょう。
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エリンジウム、という植物だとか。
ずいぶんとマイナーな植物を持ち出しましたね。
花言葉は「秘めた愛」「光を求める」「独立」です。
やがて君になるの世界観には合ってますね。
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こちらはヒメヒマワリであると公式Twitterが言ったそうです。
やがて君になるのOPを考察した人はガーベラだと思ったそうですが、確かに見た目はヒメヒマワリよりガーベラに近いかもしれませんね。まぁ、どちらもキク科の植物なので、間違えるのも無理はありません。
花言葉は「憧れ」「崇拝」「誘惑」だとか。ちなみに僕はこの画像を見て「こんなキャラいたっけ?」というのが感想です。読み返して「ああ、小説家になりたいキャラか!」と思い出しました。個人的にはガザニアに似てる気がしますが、どうですかね?
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アネモネですね。
花言葉は「期待」「儚い愛」「真実の愛」です。
アネモネは寒い時期にも咲くので、そこから困難に耐える真実の愛という意味になったんだとか。
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プリムラ・ポリアンサと言われていますが、個人的にはプリムラ・ジュリアンでもいいと思います。
プリムラというのはサクラソウ属の呼び名で、園芸の世界ではとりわけセイヨウサクラソウを指します。ニホンサクラソウは花が小さく、見た目からして違います。
ヨーロッパ原産のプリムラ・ポリアンサは品種改良され、サカタのタネが開発したのがプリムラ・ジュリアンです。厳密には別品種なのですが、混同されていますね。見た目も大差なく、違いがありません。
花言葉は「富の誇り」「無言の愛」だとか。
まぁ、ツッコミを入れるなら、プリムラ・ポリアンサやプリムラ・ジュリアンは花茎が短いので、このように髪に刺すことは無理だと思います。
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いっぱい出てきましたね。
まずはアジサイ。アジサイは花色が変化しますが、これは土壌のphによって変わるとされていますが、厳密には土壌の酸性度合いによってアルミニウムの溶け出し方が変わるため、土中のアルミニウムと花(厳密に言えば装飾花という萼)に含まれるアントシアニンが反応することで色が変わります。花言葉は「移り気」と名付けられますが、アジサイからしたらただの化学反応なのでとんだ花言葉をつけられたものです。
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次に左下のヒマワリ…うーん、ヒマワリにしては真ん中の部分、いわゆる筒状花が小さい気がしますね。外側の花弁を舌状花と呼ぶのですが、ヒマワリらしい咲き方というと、真ん中の部分が大きくて外側の花弁は小さく描くと思うので、これがヒマワリかというと少し疑問です。Googleレンズにかけたらマーガレットと出てきましたが、マーガレットっぽくはないですね。ヒマワリだとすれば、花言葉は「あなたを見つめる」「憧れ」「偽りの富」など。
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右側の紫色の花はクレマチスですね。花言葉は「精神の美」だそうで。ちなみにクレマチスはキンポウゲ科センニンソウ属の植物ですが、このセンニンソウ属の植物には毒性を含みます。
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その上にあるピンクの花はバラでしょうかね。バラを描くなら剣弁高芯咲きにすると思うのですが、これは剣弁高芯咲きにはあまり見えませんね。ただ、バラの葉というのは「複葉」といって3枚以上の小葉が互生しているので、この画像だとバラの葉には見えないんですよね…ちなみに、ピンクのバラの花言葉は「感銘」だそうです。
中央下にあるのはハナミズキですね。ピンクの4枚の花弁が特徴ですが、ハナミズキの花は中央の黄色い粒のようなもので、ピンク色のは総苞片という萼です。花言葉は「感謝」「思いを受け取って」だそうで、これもまたやがて君になるの世界観に合っていていいですね。
クレマチスの上にある黄色い花は、ユリですかね?ユリという植物は、品種によって横向きだったり上向きだったりと咲き方が違いますが、ヤマユリから改良された品種(いわゆるオリエンタル・ハイブリッド)は横向きに咲くものが多いです。花が細長いので、テッポウユリから改良されたロンギフローラム・ハイブリッドの品種でしょうか?黄色いユリの花言葉は「陽気」だそうです。
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あとは…いっぱいあって小さいので判別は難しいですね。
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まずはフジ。マメ科の植物で、日本の固有種です。花言葉は「優しさ」「歓迎」「決して離れない」など。これもまたやがて君になるの世界観に合っていますね。
中央左から垂れ下がっているのは、タチアオイに見えますね。梅雨の始まりに下から花をつけ、終わりごろに梅雨が開けるため、「葵の咲き終わりが梅雨の終わり」と言われていて、梅雨という日本独自の気候と関連付けられて源氏物語にも登場します。フジと違って垂れ下がりませんけどね。花言葉は「豊かな実り」「気高く威厳に満ちた美」「野望」だとか。
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ユリの花に見えますが、先程言ったように、ユリという植物は、品種によって横向きに咲くものと上向きに咲くものがあります。なので、横向きに咲くオリエンタル・ハイブリッド系の品種だと、こんなに下を向いたら花首から折れて花が取れてしまうと思います。試したことはないですけど、花が大きくて重いのでね…
ちなみに黒っぽいユリがありますが、ユリには黒い品種もあります。
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これまたいっぱい出てきましたね。さっき挙げたものとほぼ一緒なので言うことはあまりないです。
白い花弁のキク科の花は、これはマーガレットっぽいですね。
ちなみに、ハナミズキは樹木なので、草本植物じゃないんですよね。こういったブーケっぽい感じにはならないです。
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アジサイですね。これは先程挙げたのでもういいでしょう。
ちなみに黄緑色のアジサイがありますが、これは「アナベル」という品種で、このアジサイは土壌のphで花色は変化しません。
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ハナミズキと、黄色いものはモッコウバラだそうです。(って原作者が言ってたみたいです)
モッコウバラは、とりわけこの黄色の八重咲きのものがよく知られています。開花時期が早く、よく育つため、比較的見かけるオールドローズです。ただ、密集して咲くのがモッコウバラの魅力なので、一輪だけ描かれてもモッコウバラとは読めませんね。花言葉は「純潔」「初恋」「素朴な美」です。
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いかがでしたでしょうか。
個人的な感想としては「無粋だなぁ…」という感情です。
植物には花言葉があって、それは歴史上で言えばフランス人が名付けたのがキッカケなんですが、まぁ人が勝手に名付けたものに説得力を感じるかは受け手次第なのでね…
また何か思いついたら書きます。