バラの歴史からみたマリア様がみてる番外編「水野蓉子さまの名前を考えよう」
ごきげんよう、はねおかです。
今回は水野蓉子さまのお名前について考えてみたいと思います。
水野蓉子さまのお名前に関するエピソードは、いとしき歳月(後編)に記述があります。
いくらなんでも、親が自分の可愛い一人娘に「養子」とは名付けないでしょう。
聖さまの、当時の他人への無関心っぷりが分かりますね。
実際、アクセントとしては芙蓉と扶養では違います。
芙蓉はフにアクセントがつき、扶養ではヨにアクセントがつきます。
この辺りのミスリードを誘う手法は小説という文章の媒体ならではですね。
実際、アニメ版ではこのエピソードが丸々カットされています。
フヨウ違いを聞いて、こう答えた蓉子さま。
そして無関心にこう答え返す聖さま。
さて、花の芙蓉というと、アオイ科フヨウ属のフヨウがあります。
後述しますがフヨウという名の花は別にあるため、区別するために「木芙蓉」と呼ばれます。
特に、花色が変化する八重咲きの変種、スイフヨウ(酔芙蓉)が有名です。
スイフヨウは時間の経過とともに花弁が白から濃いピンクへと変化していきます。その様子を酔っている人の顔になぞらえ酔芙蓉と呼ばれています。
そして芙容のもう一つの名。
それはハスの花です。
ハスはハス科ハス属の多年生水生植物で、ご存知レンコンを実らせる(実際にはレンコンは根ではなく地下茎なのですが)植物です。
アオイ科のフヨウを木芙蓉と対比してか、水芙蓉とも呼ばれます。
ハスの花のもう一つの名前に「蓮華」があります。これは似たような環境で生育するスイレンの花も含みます。
スイレンはスイレン科スイレン属の水草の総称です。
ハスの花と似たような花を咲かせます。
ハスとスイレンは別の種なので、色々な点で異なります。
違いは多々ありますが、ハスの葉は撥水性があり水より上に出て、スイレンの葉は撥水性がなく水に浮くように出ています。
この文章からは「芙蓉の花はきれいだから、そのきれいなイメージを伝えたいのだけど」という蓉子さまの感情が伝わりますね。
確かに、木芙蓉にせよ水芙蓉にせよ、美しい花ではありますし、事実として蓉子さまはお美しいです(はねおか調べ)
今野緒雪先生は小説家でいらっしゃいますので、言葉というものには非常に気を遣っている方だと思います。
よって、芙蓉という言葉の意味もご存知なはずです。
芙蓉は、中国語ではフーロンと呼び、美しい鳥として知られるカナリアは芙蓉鳥という別名を持っています。
そうです。芙蓉という言葉自体に「美しいもの」という意味が込められているのです。
仏教の維摩経(ゆいまきょう)には「身は泥中の蓮華」という言葉があるそうです。意味は「いくら汚れた環境に身を置いていても、その汚さに染まらず、清く生きること」だそうです。「煩悩の汚れの中でも決して染まらず、清らかで純真な心や姿を保っている人」や「悪い環境に身を置いていてもその環境に染まらない人」と言えるでしょう。
先ほど、ハスの葉は撥水性があると言いました。
実際、ハスの葉は「ロータス効果」によって水や泥を弾く撥水性を持っています。
泥の中から葉を伸ばし、その葉は決して泥にまみれることなく、美しい花を咲かせるハス―
古代の人は、そんなハスに神秘性を感じたのでしょう。
実際、ハスの花とスイレンの花を両方とも蓮華と呼びますが、スイレンの花を芙蓉とは呼びません。
世俗にまみれず、穢れることなく咲くハスの花こそが、水野蓉子さまの名前の正体だったのです。
まぁ、御本人は外部受験組でありながら三日でリリアンに馴染み、クリスマス会とあらば折り紙で飾り付けをする俗っぽい方なんですけどね。