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ヒガンバナとリコリス・リコイル〜第四回「鬼より強いリコリス」

ごきげんよう、はねおかです。
久しぶりのリコリコネタを書きたいと思います。

リコリス・リコイルの新作アニメーション制作決定の話が発表されましたね。

ファンとしては喜ばしい限り。
続報を待ちたいですね。

さて、ヒガンバナといえば、燃えるような赤色を思い浮かべるのではないでしょうか。

ヒガンバナ:Lycoris radiata(撮影:茨城県)

英語ではRed Spider Lilyの名があります。
Lilyとはユリの意味ですが、ヒガンバナ科の植物ではナツズイセンやアマリリスはユリのような見た目をしています。

ヒガンバナ科ヒッペアストラム属のアマリリス(撮影:横浜イングリッシュガーデン)

今回ご紹介するのは、黄色いヒガンバナ。
学名はLycoris traubii。
和名をショウキズイセンと呼びます。

ショウキズイセン:Lycoris traubii(撮影:新宿御苑)

漢字で書くと「鍾馗水仙」となります。
この鍾馗ですが、これは中国の神の名前です。

ある時、唐の6代皇帝がマラリアに罹ります。
高熱にうなされるなかで、皇帝は夢を見ました。宮廷内で子鬼が悪戯をしていると、どこからか現れた大鬼が子鬼を捕らえて食べてしまう。
皇帝は大鬼に話を聞くと「私は鍾馗。科挙を受験したが落第し、それを恥じて宮中で自害した。しかし初代皇帝が手厚く葬ってくれた。その恩に報いるためやってきたのだ」と言いました。
皇帝が夢から覚めると病気が治っていたことに気付き、著名な画家に命じて鍾馗の絵を描かせると、まさしくそれは夢の中で見た鍾馗そのものだったという―

というのが大まかなあらすじです。

この頃から、家臣たちは鍾馗図を頂き、魔除けとして飾っていたそうです。

日本でも屋根に鍾馗の人形を置く地方の風習があるとか。
代表的なのは京都市で、昔京都三条の薬屋さんが立派な鬼瓦を置いたところ、向かいの住人が具合が悪くなってしまいました。これを「鬼瓦に反射された悪いものがいけない」と考え、鬼より強い鍾馗を作らせて魔除けに据えたところ、住人の病が完治したのが謂れとされています。

さて、リコリス・リコイルにおいて、鬼より強いキャラクターといえば、錦木千束ですね。

作中では第3話「More haste,less speed」ではフキとサクラの2対1の模擬戦もなんのその。
第6話「Opposites attract」や第11話「Diamond cut diamond」では視覚を封じられて劣勢に追い込まれていますが、逆を言えば視覚を封じされさえしなければほぼ無敗。
銃弾さえも見切る回避能力は、たきなとのジャンケンにさえ勝てるという(便利なんだかそうでないのだか分からない無駄な)強さを発揮しています。
一人で旧電波塔を守りきり、伝説のリコリスとなったのは伊達ではありません。

そしてその力は、アラン機関に「殺しの才能」として見出されてしまいます。

鍾馗は日本では平安時代に辟邪絵(疫鬼を退治する神を描いた絵)から登場します。
この辟邪絵では、責められているのは人間ではなく疫病や害悪を招く悪鬼です。
地獄の絵を描いているのも、地獄にいる悪鬼を退治しているからです。

つまり、力を善き者のために振るっているのです。

アラン機関によって殺しの才能を見出された千束は、その力を殺人には用いませんでした。

非殺傷性の弾丸を使い、街の人々の困り事を解決し、それはリコリスがやることか?と思うことをやっています。

全ては善き人のために―

鍾馗はその力を、帝の恩に報いるために使いました。
千束もまた、その力を周囲の人々に向けて使っていました。

そろそろヒガンバナの開花シーズンです。
珍しい黄色いヒガンバナ、ショウキズイセンを皆さんもご覧になってはいかがでしょうか?


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