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料理をお皿に盛るのは過去のこととなったのか?
たとえばスレート(大理石などの石の板)、たとえばブレッドボード(木の板でできたパンを切るための板)。
数年前から、イギリスの飲食店では従来のお皿ではなく、こういった板系のものでサーヴするのをよく見るようになりました。
他店との差別化、お客への視覚的アピール、前述の板系については昨今のモチーフと挙げられやすいナチュラル感を演出するのにもってこいだから。
とまあ、ぱっと思いつくだけでさまざまな理由がありますが、一番大きいのは“いかに目立つか”かもしれません。
というのも、ここのところ前述の板系のみならず、ジャムの空き瓶だったり、タバコの空き箱だったり、ガーデニングに使うスコップだったり、枚挙に暇がないほど、実にさまざまなものが料理を盛るために使われているからです。
そんな状況を察知して、2015年9月16日(水)づけのイギリスの新聞、The Guardianにこんな記事がありました。
料理をお皿に盛るのは過去のこととなったのか?
Plates v slates: the backlash against gimmicky serving dishes
http://www.theguardian.com/lifeandstyle/2015/sep/16/plates-slates-backlash-gimmicky-serving-dishes?CMP=fb_gu
ここではワースト10も発表されており、それは以下の通りです。
01. 傘をひっくり返して使う
02. 生きた金魚が入ったグラス
03. 有刺鉄線
04. 靴
05. ドッグフード用皿
06. シンク台
07. レインブーツ
08. ネズミ捕り
09. 量り(クオーター・パウンダーなど、ハンバーガーがメニュー名通りの重さがあるのを知らしめるため)
10. 便器(! お食事中の方、ごめんなさい!)
この記事のネタとなったのは、We Want Platesというツイッター。
https://twitter.com/wewantplates
今年2015年3月に始まり、最も多いときで9万5000ものフォロワーを有し、イギリス中から賛否両論、店側からもお客側からもさまざまな投稿や意見が寄せられています。
その様子からは、状況はエスカレートしていっているのがよく分かります。
この事象を象徴的に示すのが、イギリスのセレブリティ・シェフ、 トム・エイケンスがドゥバイにこの9月、オープンしたレストランの名前。
Pots, Pans & Boards
直訳すると、深さのある皿、フライパン、また板となり、やはりこういったものが食器替わりに使われています。
このように、料理を盛るのは何でもアリの状況は、果たしていいのか悪いのか。
すべてを判断するのはお客であり、いき過ぎと感じられるものには否定的な意見が散見されるものの、それをも覆すほどの卓越した素晴らしいアイディアがあれば、絶賛され新定番となるでしょうから、今こうやって過熱状況にあるのは、いいことなのかもしれません。
また、あまりにこういったことがすすむと、逆に、従来の食器は新鮮に映るようになるかもしれません。
今度はこれを使ったの? わかったよ、もう、お腹いっぱい、ってね。
実際、2016年のトレンドは食器になるんじゃないの?という意見も寄せられ、あながち冗談ではないかもしれないなぁ、と思った次第です。
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