ぼくはパワハラキラー(鬼滅のサイコパス)
わたしは数々のパラハラ体験から、のちにパラハラキラーへと成長した。
パラハラは戦いだ。殺(や)るか、殺られるか。退職するか、退職させるか。大げさかもしれないが、本気で戦うならそれに近いところがあると思う。
(株)サイコパス・コンサルティングに転職したときのことだ。最初から嫌な予感はあった。いかにも恰好つけの部長からこういう説明を受けた。
「うちの部には柱が4人います。君はその人たちに勝って、エースプレイヤーになってください」ハードルが高すぎないか。その「柱4人」という響きがとても怖いのだが……。
そこは圧倒的に女性が多い部署で、その人たちは全員女性とのことだった。さらに嫌な予感がする。以前、広告代理店勤務の人から、女性ばかりの職場には気を付けろと言われていた。そういうクライアントが一番怖いと。
案の定、ヤバい人間が含まれていた。その部署には、この人に目を付けられたら終わりという人が2人いたが、わたしはその2人から目を付けれられた。
ただでさえサイコパスばかりの職場の、サイコパス・オブ・サイコパス。
ひとりはわかりやすくヤバい人。言動がことごとくきつい。取引先を奴隷のように扱い、顧客を顧客と思わない。ほぼ「鬼滅の刃」の風柱だと思っていただければ。
風柱(↓)
なぜかその人がわたしのお目付け役のような立ち位置になった。わたしは「もう十分キャリアがありますので、わたしひとりでやれます」と言っているのに客先についてくる。
いちいち口出しするので「もういいですから!」と少し強めに言ったら、キレた。「こんな言い方をされたのははじめてだ! ずっとおまえにつきまとってやろうか!」
さすがに上に直談判して切り離してもらった。
風柱は「あいつひとりで案件を回せるわけがない。会社の損失になる」と言い張った。この時点でわたしの勝利条件は「ひとりで案件を完遂させること」になる。
結果、普通に勝利。この件と因果関係はない気がするが、風柱はしばらくして退職した。その間、約1年くらい。
次の刺客は毒柱だった。陰で部署を操っている。権限があるわけでもないのに、なぜか勝手に案件を割り振ったり、営業先を指定したり、他人を駒のように扱う。
毒柱(↓)
攻撃対象がかならず一人はいて、標的を定めると、執拗にその人間を攻撃する。若手の男性社員が辞め、中途の女性社員が病気になり、最初に出てきた格好つけの部長も退職に追い込まれた。
恐ろしいのは、対象者が仕込まれた毒に気づいていないこと。毒柱との戦いは熾烈を極めた。誹謗中傷。部内からのリソースの供給のストップ。
わたしを支えたのは圧倒的な個人力。会社など存在しないものとして、勝手に顧客とビジネスをした。
だが、さすがにそのやり方は持続的ではなく、4年後にわたしは戦いの幕を下ろす。退職だ。
その頃は、毒柱と別の部署になっていた。もちろん退職にはいろいろな理由があるが、毒柱との戦いという側面で見るなら、今回わたしは負けたのかなと思っていた。
しかし、会社に退職の報告をした後で知ったのだが、ほぼ同時に毒柱も退職することになる。戦いは相打ちだった。
ここまで圧倒的なわたし目線で物語を描いてしまったが、相手から見たら、わたしは上弦の弐の鬼(こいつもサイコパス)の気がしないでもない。
偽ロックスターは鬼滅の刃が大好きです。
ガチでエースプレイヤーになるならこういうこと。