必殺技をつくりたい
ブルース・リーはこんなことを言ったという。「100の技を持つ相手を、怖いとは思わない。ひとつの技を磨き続けた相手を、わたしは恐れる」。
わからんでもないような。そんなやつと戦ったら、一瞬の隙をつかれて一撃必殺で倒されそうだ。
わかる。
わかってはいるんだけど、新しい必殺技をつくりたいんだ。
投資の世界を見てみても、儲けている人間は型を貫いているタイプが多い気がする。どんなときでも自分のスタイルを崩さない。真の敵は心が揺らぎそうになる自分自身。みたいな?
絶対に強い。たしかにこんなやつと対戦したくない。投資の世界でも、プライベートでも。
安心してほしい。わたしはひとつの技にとどまれない人間だ。どうしても新しい必殺技を開発したくなってしまう。必殺じゃないから、必殺技ではないのだけどね。
たとえば、この記事。投資スタイルをどんどんアップデートしている。旧約聖書になぞらえて、「アップデート海」とか、「アップデート大地」とか、必殺技みたいな名前をつけている。
最近は、むずかしいからやらないと言っていた「バイ&ホールド」気味になってきている。成功したら、わたしは絶対に必殺技の名前を付けると思う。
創作でも、常に新たな必殺技を欲してている。今年はAIイラストを使いだした。そのうち音楽を付けだしたり、動画も使いだしたりするのかもしれない。
こういう中二的なアップデートマンは成功しないのか?
ブルース・リーに一撃で殴り倒されてしまうのか?
いや、一部には例外もいる。ある伝説的な個人投資家さんは、意識して常に新しい手法に挑戦していると言っていた。
挑戦をやめたとき自分は終わるというか、投資に飽きてしまうというのだ。わかる気がする。自分が客観視できていてすごい。
クリエイターの世界の伝説的なアップデートマンは、スタジオジブリの面々。過去の実績は忘れ、毎回、新人に戻ったような境地で作品を創っているのだそうだ。
プロデューサーの鈴木氏は「記録は忘れる。大事なものは勝手に記憶に残る」のようなことを言っている。こういう世界もあるのだね。
必殺技の話からは、ふたつのことが言えると思う。
ひとつは、どちらが正解というわけではなく、自分の性質に合ったアプローチをとるのが正解だということ(そのうえで一撃必殺タイプだった人は運がいいのかもしれない)。
ふたつめは、実は一撃必殺マンとアップデートマンは同居させることができるということ。
ある得意なスタイル(一撃必殺)の中で、いろいろなこと(アップデート)を試してみればいいのだ。
わたしがいろいろな投資手法を試していると言っても、あくまでバリュー投資の枠組みの中だしね。
さらには、一撃必殺の枠を広げてみる。「何かおもしろいものをつくって、他人と共有したい」。そこまで枠を拡大できるのなら、すべての試みはそこに入ってきそうな気がしている。
「ほら、これ見て! 面白くないですか?」
わたしの魂の声はこれだけなのだ。
わたしの偽りない魂の声なので、もう一度、大きな声で言わせてください!
「ほら、これ見て! 面白くないですか?」
蛇足だけど、わたしがつくる実験的なポケモンカードのデッキは、嫁が鍛え上げた草ポケモンデッキにいつも殴り倒されている。