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秋とチェリーと太陽の塔

何か秋の出来事を思い出そうとして、大学時代のバイトの話にたどり着いた。スピッツの名盤「インディゴ地平線」と大阪万博記念公園の「太陽の塔」もセットで思い浮かぶ。

モノレールで万博公園に降り、公園の中のレストランまで歩く。毎回、太陽の塔に目が行ったが、アホだったわたしは太陽の塔がなんたるかを知らなかったので、「なんか変なのがあるな……」としか思わなかった。

岡本太郎の太陽の塔

感受性が死に絶えているとしか思えない。森見登美彦氏なんて「太陽の塔」という作品で日本ファンタジー大賞を受賞したというのに。絶望的な感性の差を感じる。

スピッツのインディゴ地平線はそのときよく聴いていたアルバムで、勝手に秋に合うなあと思っていた。今思えば収録曲の「渚」は完全に夏の曲だし、「チェリー」は春の曲だと思う。

ちなみに「バニーガール」は冬の曲。あれ、秋は?

感性が狂っているとしか言いようがない(このときの自分を擁護するなら、スピッツの曲に感じる切なさは全体的に秋っぽい)。このときの後遺症でチェリーは秋の曲にしか感じなくなってしまった。

このレストランのバイトに秋のイメージしかないということは冬が来る前に辞めてしまったのだろう。基本的に何のバイトも向いていないのだが、飲食店のバイト(ホール)は、致命的に向いていないところがある。

わたしは短期記憶が極端に弱い。そのぶん長期記憶に強いため、ペーパーテストの採点では頭のいい人になることができるのだが、短期記憶で勝負させてしまうと究極のアホになる。お客さんからの注文をびっくりするほど覚えられない。

昔、「笑う犬」というコント番組で、
「ハンバークセット、ごはん少なめ、ドリンクバー付けて」「こっちはカレーライス、食後にコーヒー」みたいな注文に対し、
「ええっと…、繰り返させていただきます……。メキシカンピラフ100個ですね」
みたいなネタがあったが、本当にそのレベルだ。

この店は食券制だったので、弱点が完全には露呈しなかったのだけど、他のスタッフとのコミュニケーションがうまくいかず、ギリギリの感じだった。

さらには、短期記憶とか関係なく、年の近い同僚のバイトをおもいっきり怒らせてしまった。

関西太郎くん「XXくんは彼女いるの?」
わたし「(わたしはもちろんいないけれど)えっ、関西太郎くんはいないんですか?」
関西太郎くん「むかつくな! カッコいいやつは何もしなくても彼女ができるんだろうな!」
わたしが( )の部分を省略してしまったために、コミュニケーションが崩壊した。関西太郎くん目線では、「そんなのいるに決まってるじゃん! えっ! 君はいないの?」に聞こえてしまったのだ。
※カッコいいというのは、あくまで関西太郎くんの感想です

コミュニケーションに激しく失敗したわたしは、いろいろ居たたまれなくなり、少ししてからバイト先を去った。

言語化能力を獲得した今のわたしから関西太郎くんに伝えよう。

「君は認識が甘い! 甘すぎる! 女子ならいざ知らず、男は見た目だけで彼女ができるなんてことはありえない。少なくともコミュ障には無理だ! ただ、何もしなくても彼女ができる状況というのはたしかにある。
『理系出身で女子に慣れていないが、普通の性格、かつ、そこそこ以上の見た目の人が、有名企業に入社した後』だ」

それも切ない話だな……。
関西太郎よ、一緒にチェリーを聴こう。
これは俺たちにとっての切ない秋の歌だ。


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