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完全匿名のスター(バズりの奥義)

偽ロックスターは完全匿名で活動を行っている。このアカウントはリアルワールドの誰にも教えていない(ちなみにXもそう)。これは非常に不利なことだ。

実名なら、知り合いがフォローしてくれたり、応援してくれるかもしれない。実名でなくても、完全匿名でなければ、信頼できる誰かに応援してもらうことが可能だ。それができなくて困っている。

身内からイイネを広げていくのはバズらせの基本だ。わたしがかつて所属したパーフェクトブラック企業が使っている技なので本当にそう。もう少し手の内をさらすと、業界関係者をターゲティングする。

奥義を知っていながら使えない。そういう性格なのだと思う。誰にも心の内を知られたくない。恥ずかしくて仕方がないのだ。ときどき昔の出来事を思い出しては、羞恥心で発狂しそうになる。そういうタイプの人間が一定数いる。

たとえば、昔、海外支社の外国人が本社にきたとき、わたしがトイレから出てきたタイミングでばったりその人と遭遇した。顔見知りだったので、相手は握手のために手を差し出した。そのときハンカチを持っていなかったわたしは、手がびしゃびしゃだった。あまりにも絶望的な状況。

この状況を打開するほどの語学力がなかったわたしは、とりあえず、相手の好意に対し握手をしないという選択肢を排除し、残されたほうを選択した。べちゃり……。本当に思い出すだけで発狂しそうになる。相手が文化の違いだと思ってくれたことを願うばかりだ。

羞恥心以前の話をしてしまった気もするが、わたしには実名で自分のエピソードを披露することなど絶対に無理だ。いっぽう、完全匿名のメリットもある。リアルの知り合いに縛られずに自由に書けるということ。

ここに匿名ならではのバズらせの極意がある。皆さんご存じだと思うが、それは人間の負の感情に訴えることだ。怒り、悲しみ、妬みを誘うような発言をする。内容はおのずと過激なものになる。Xを見てみるといい。バズりツイートは怒りであふれている。

ところが、わたしは過激な発言をするのが苦手だ。誰も見ていないのに、いろいろな人に配慮してしまう。内向型の性格が極まるとそうなるのか、身内にばれたときを恐れているのか、この程度が本当の自分の姿なのか。

まあ、人間の本性が、裏アカだったり、運転中の車内で出るのだとしたら、今書いている感じがわたしの魂の姿なのだと思う。なかなか不利な状況だ。知り合いに応援してもらうこともできなければ、過激な発言をすることもできない。下手くそな歌声で自分なりの愛を歌うしかない。

過激な発言をしないどころか、わたしは悪人さえも愛さなければならない。ときどき小説も掲載するからだ。

登場人物に愛のない作品は、他人に受け入れられない。たとえば、演劇なんかのフィナーレでは、主人公も悪役も、全員で手をつないで挨拶する。あんなに非情な行いを尽くしていた悪役も違和感なくそこにいる。

みんな、それぞれの役割を演じていただけ。みんな等しく拍手喝采を浴びる(わたしの頭の中には名作漫画「からくりサーカス」のエンディングシーンが浮かんでいます)。

ロックスター業はたいへんだ。目立たず、バズらず、愚痴もこぼせず。一方的に愛するだけ。まったくわりに合っていない。不憫に思った方はぜひ応援をお願いします!

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