こういう時に限って

 こういう時に限って…。そう思いたくなるようなことは重なるものだなあと思うような朝だった。
 朝食を食べ終え身支度を済ませてほっと一息ついていた10時過ぎ、我が家の呼び鈴が鳴った。
 前回の記事でも書いたように、断線したブレイルメモポケット(点字ディスプレイ)の充電機のacアダプターの新しい物が、今日の午前中に届くことになっていた。
 もう届いたのかと思い、慌てて玄関へと走る。
「おばあちゃん居る?」
 ドアを開けた瞬間聞こえてきたのは女の人の声だった。どうやら祖母の友人か知人のようだ。宅急便の人ではなかった。
「あっ、すみません、祖母はまだ入院しています」
 予想外のことにあたふたしながら私は答えた。
 その後祖母が2週間前に転んで右足の付け根を骨折して入院したこと、入院している病院名、コロナの関係で面会ができないこと、退院後はリハビリの施設に入ること、いつ退院できるかまだ分からないことを話すと、その人は帰っていった。
 やれやれと思いながら自室に戻り、フェイスブックで今日誕生日の友人にメッセージを書き込んでいると、突然電話が鳴った(そのため慌てて送信したので文章がへんな風になっていたらすみません)。
 まだ蔓延防止措置が解除されていない最中にと思われるかもしれないが(私自身も感染しないかものすごく不安なのだが)、明日から1泊二日で県外に出る予定があるのだ。電話はその時に泊まるホテルからだった。
 先週予約の電話を入れた際、全盲なので部屋の中のことなど説明していただきたいとおねがいしたことへのいくつかの確認事項についての電話だった。
 その電話の最中、またしても我が家の呼び鈴が鳴った。
 こんどこそ宅急便かもしれない。でも電話はまだ途中だし、どうしようと焦る。
 普段我が家にお客様が立て続けに来ることはほとんどないし、私のところに重要な電話がかかってくることもほとんどない。こういう時に限って重なるものだなあ。
 そう思っていると、電話が保留になった。その隙に左手に財布を、右手に保留音が鳴ったままの携帯を持って、急いで玄関へと走った。
「宅急便ですけど…」
 思った通りその呼び鈴は宅急便だった。
 代引き7700円。お札や小銭を数えている余裕がなかったので1万円を出した。宅急便のおじさんがおつりを数えている。よかった、まだ保留音は鳴っている。この保留音が解除される前に支払いを終えたいのだが…。
 間もなくして右手の平の上におつりが渡された。それを急いで財布にしまうのと同時に、宅急便のおじさんも帰っていった。さらにタイミング良く電話の保留音が解除された。再びやれやれである。
 ホテルからの電話を終えると、早速荷物を開封した。段ボールの中には確かに新品のacアダプターとコードがそれぞれ入っていた。
 それらをすぐに繋ぐと、試運転も兼ねて充電を始めた。これでうまくいけばブレイルメモポケット復活である。
 例によってブレイルメモスマートでこの記事の下書きをしている現在14時半過ぎ、その充電もそろそろ終わる頃だろうか。

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