二、終わりの先
無に返った。そうは言えなかった。
私達は多くを失ったが、そこには残ってしまったものがある。
瓦礫の山。積もった雪のような灰。誰かがどこかで泣いている声。
「こんなはずじゃなかった、のにな」
二、終わりの先
呆然と膝を折った貴方の前には、無よりも残酷な世界が広がる。
ここは、終わった後の。戦って、生き延びて、手にした勝利の先。
けれど絶望する暇はない。
「望まなければならないわ。未来を」
座り込んだ貴方の隣に立ち、貴方と同じ世界を見る。
私は戦いの中の希望を見てきた。先に逝ってしまったあの人達が、ずっと心に持っていた希望。それは生きていく者達に託された。
「望まなければ叶わないわ。逆に言えば、望めば叶うのよ」
私の言葉に小さく笑って、貴方は言った。
「そりゃあいい」