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【手話ダンス甲子園チームレポートVol.3】

Vol.3ジュピター(千葉県) 編


 このレポートは、手話ダンス甲子園に出場し入賞したチームのメンバーや指導者など、また、関係の深い人物にチームと手話ダンス甲子園に関する話、また、手話ダンスにまつわる事柄についてインタビューした内容をレポートとして発信するwebコンテンツです。

 第3回目のチームレポートはジュピター(千葉県)です。
【ジュピター手話ダンス甲子園実績(令和7年10月16日現在)】
・2023年 第1回手話ダンス甲子園 東日本大会 特別賞(ダイバシティ賞)
・2023年 第1回全国手話ダンス甲子園決勝大会出場
・2024年 第2回手話ダンス甲子園 東日本大会 特別賞(ダイバシティ賞)
・2024年 第2回全国手話ダンス甲子園決勝大会出場
★2024年12月7日(土)第26回千葉市障害者福祉大会にジュピターが出演決定!!

【インタビュイー】ジュピター所属のメンバー
尾畑麻美さん
鈴木美和さん
戸井恵美さん

◆ジュピターの結成について教えてください。
 2007年に千葉県北総地域に生を受けたダウン症のある子どもたちとその親が集まり生まれた会がジュピターです。

◆ メンバー構成を教えてください。
 
2007年当初からのメンバーもいて、今25歳ですかね、働いているメンバーもいます。
メンバーは増える一方で、46家族が加入しています。
ダンス活動に限って言うと、余暇活動としてメンバーの中でダンスをやりたい家族が参加して練習しています。

◆メンバーは口コミで増えていくのですか。
 そうですねぇ。子ども発達支援センター等から紹介されることが多いです。
ダウン症の子が生まれると、そのご家族に病院や役所の関係機関からジュピターの代表を紹介されるよう感じになってますね。

【ジュピター公式インスタ】

◆ダンスやその他の定例会の活動を教えてください。
 月一回みんなで集まってワイワイ話をする茶話会があります。ダンスは月2回やっています。お楽しみ会なども企画しています。

◆コロナ後、ダウン症を持つご家族の受け入れ状況はどのような感じですか。
 私達にはダウン症を持つ家族の情報が中々入ってこないので、こちらから情報を取りに行っています。
 私達の活動は千葉県成田市を中心にしているのですが、成田市の子供発達支援センターに私達の情報も提供して、広く知ってもらう活動をしています。

◆なぜ、昔に比べて情報の入手機会が少なくなっていると思いますか。
 ネットやSNSが発達して、個人で情報収集ができる世の中になったからだと思います。私達の事を知る前に、ダウン症の子どもが産まれたご家族は、知りたい情報をネットで検索して情報収集されていますしね。そういう意味で逆に私たちがダウン症家族の情報を得ることが少なくなってきていると思います。ですので、こちらから情報を集めにいかなければならない状況です。

◆実際に直接出会って話をするコミュニケーションは大切だと思いますが、新しくダウン症のお子さんが産まれたご家族に声をかけるとどのような反応をされますか。
 今の家族の特徴なんですかね。働いているお母さんがほとんどで、「忙しいのでうちはいいです。」という反応が多いですね。
すごいスピードで生活様式が変わってきていると思います。
 でも、だからこそ私達も活動を多岐にしていきたいし、色々な家族の居場所にしたいと考えているんです。これからも役所にも広く私たちの活動を知ってもらうよう働きかけていきたいです。

◆ジュピターのご家族の参加者は母親中心ですか。
 お父さんやおじいちゃんやおばあちゃんも参加されますけど、やっぱりお母さんが多いですね。

◆メンバーが大人になっていくと、就労支援や「働く場」といったことが生活のシーンで訪れますが、メンバーの進む道はどのような傾向がありますか。
 就労支援(B型)や生活介護が多いですね。
 成田市では、「ゆたかカレッジ」という事業所が立ち上がりました。これは、障がい者総合支援法の自立訓練と就労移行支援事業を組み合わせた多機能型作業所で、最長4年間通わせることができます。最近はこの「ゆたかカレッジ」に通所するメンバーも増えてきました。

◆就職という事に関して具体的な実例はありますか。
 「ゆたかカレッジ」は幅広く広域で展開されているので東京都内では具体的な実績があるかもしれません。
私達のメンバーで「ゆたかカレッジ」に通所されている方はまだそこまで具体例はありません。

◆昔に比べると医療や社会サービスが発展して、障がい者全般、平均寿命も延びてきていますが、そこで将来のことについて親同士で話をしたりしますか。
 今うちの子は18歳ですが、生まれた当時は寿命が40歳と言われました。
でも、今は医療が進んでいるので寿命は60歳くらいって言われます。でも、それを聞いてもまだ先の事までは考えられていません。

◆ジュピター以外で家族以外が支え合うコミュニティはありますか。
 成田市は新興住宅地なので、引っ越しをしてきた方が多くて個人同士の付き合いはまだまだ薄いと感じます。
 スペシャルオリンピックスが成田市や周辺地域では盛んで、そういった活動の場は少なからずあると思いますよ。ボーリングやテニス、サッカーとかが盛んです。ただ支え合うというより、体を動かすためのコミュニティという感じです。
 支え合うという意味では受け皿としてのコミュニティはまだ足りていないと思います。

◆余暇活動の重要性についてどう考えますか。
 私の子どもは、今年の4月から就労支援(B型)で働き始めましたが、働き始めて3カ月で体重が3kg増えました。作業所ではおそらくほとんど体を動かしていないので自宅で運動をさせています。
 心のストレスは感じません。それはジュピターという存在があるからだと思っています。
 和太鼓も習っていてジュピターと交互に通っていますが、子どもたちにとってはどちらも大事な場所だと思っています。

クリスマス会

◆就労の場に就くメンバーもいるとの事でしたが、子どもが就労の場に行く事でご家族の変化はありましたか。
 子どもが家にいる時間が圧倒的に長くなりました。その分、母親の私には少しプレッシャーが増えたかなって思います。
子育てで、少し焦ってしまうこともあって。
支援学校でやってきたことを「やらせなきゃ」って思ってしまう事があるんですよね。
 例えば、字を書いたりだとか。
 学校でカリキュラムを組まれて学んでいたことを、今も続けてやらせないとダメって、心の中で焦りがあったりしますね。
焦りの気持ちがある中で、それとは別に子どもに寄り添わないといけない時間も増えていて、それが原因でしんどいと思ってしまうことも正直あるかなぁ。
 作業所では就労に向けた指導やケアをしていただいてるんですけど、将来必要な「生きる力」まで一人一人ケアしていくことは無理ですし、そういった場所ではないってこともわかってはいるんですけど、家庭だけ生きていく力を養うのは無理だと感じます。

◆おっしゃる通り、社会教育や療育の場が圧倒的に少なくなっていると思うのですが。
 私たちの子どもの特性で言うと、運動と社会とのつながりの場がまだまだ少ないと思います。それだけにジュピターという場はとても大切なんです。
例をあげると、医療です。
 18歳を超えると、医療の場も変わっていく事になるんですけど、ジュピターにいけばいろんな情報が手に入ります。
 「あの小児科はダウン症の子どもをよく診ているよ」とか「成人するとあの病院に行けばいいよ。」など。
 本当に役に立つ生きた情報が手に入ることがうれしいです。

◆先述のとおり、今の若い家族層はネットで情報を得ていますが、ジュピターのようなアナログな関係を持たない方へ伝えたい事はありますか。
 子どもの事もそうなのですが、実は、子育てしていく中で、育てる親のカウンセリングが必要になってくることがたくさんの場面であります。
実際に同じ仲間で話をしたり、悩みを打ち明けたりする場が必要になってきます。
ジュピターは、そういった親のコミュニティ機能がすごく充実していて、実は子育てしている親の方がケアされています。
こういった同じ境遇にある仲間が集まれる場がなければ、育てる側の親のストレスやプレッシャーに自分自身が押しつぶされてしまうことが多くて、心が苦しくなる前に自分が集まれる場所を見つけてほしいと思います。

◆ではここからは、話を変えて手話ダンス甲子園についてお聴きします。
 第一回大会では決勝で入賞もしましたが、ジュピターに来ていただいたらいろんな活動もやっているので、こういった大会にチャレンジして結果も出せました。
 この大会で賞をとって親にも生きる希望がさらに持てました。

第一回全国手話ダンス甲子園決勝大会

◆具体的にいうとどのような影響がありましたか。
 手話ダンス甲子園で賞を獲得することで、実は親の私にすごく大きな変化があったんですよ。どんな障害がいがあっても、しっかり練習して努力することで、夢は実現するってことが実際に体験できました。
子どもたちの可能性に私が改めて気づかされたという感じでした。
その想いでこれからも子育てしていける勇気や希望が持てたかなって思います。

◆他のご家族はどうでしたか。
 手話ダンス甲子園の地区大会で入賞して決勝戦に行けるとなったときに、私的にはどれくらいの親御さんが参加してくれるか不安だったんです。
 千葉から兵庫までって色々負担も大きいですから。
 でも、入賞をいただいた時点でみんな大盛り上がりだったりして(笑)。
私の心配をよそに、全国大会は皆で行こうって盛り上がってました。

◆子どもたちのリアクションはどうでしたか。
 子ども達はいつもマイペースで、そこまで意識してなかったですね。
親が喜んだり、新幹線に乗れたり、表彰状もらったりするのがうれしいという感じでした。
◆入賞から決勝まではどのような時間を過ごしましたか。
 予選大会に出場する時は結構軽いノリで参加しましたので、予選は今できるものを発表しようという感じでした。決勝大会も予選通過からあまり時間がなかったので手話ダンス甲子園も月一回、二回集まってダンスをして、今できることをやっていこうという感じでした。

第二回手話ダンス甲子園東日本大会特別賞受賞(ダイバシティ賞)

https://www.yachimata-shakyo.or.jp/2023/09/25/post-1425/

◆第一回の決勝大会で入賞した後の周りの反応はどうでしたか。
 私は八街市に住んでいるのですが、みんなものすごく喜んでくれました。
どこにいってもおめでとうって言ってもらえましたし、社会福祉協議会の人たちは特にすごく評価してくれて喜んでくれました。

【地元社協のWEBニュースに掲載】

◆第二回大会に向けての作品づくりはどうです。
 過去にやった手話ダンスを確認しながら、作品づくりは母親同士でやっています。自分達以外の手話ダンスを初めて第一回手話ダンス甲子園で観て、みんなすごく刺激を受けています。

◆ジュピターのメンバーはどのようにして手話をおぼえるのですか。
 フリとして覚える感じですね。ミラーリングしてしまうので、担当のママさんが反転して手話を覚えて教えています。
 その後で、子ども同士やメンバー同士で支え合いながら、手話の意味を丁寧に教えます。
 5回くらいでフリとして手話を覚えるので、その後は手話として意味を教えて、後は丁寧に表現するようにして練習していました。
 曲をゆっくり流したり、自分達で唄いながら練習したりして結構工夫しながら覚えました。

◆第二回大会に対する想いを聞かせてください。
 子ども達も第二回手話ダンス甲子園にチャレンジすることがわかっていて、賞をとりたいというやる気が子どもの感情が芽生えてればよいなと考えています。
 お祭りのイベントでショーに出演するとはまた違うってことが伝わればいいなと思います。

 私の子どもは、年始に夢ボードに「手話ダンス甲子園にいきます。」って書いていて、自然と目標になっています。その思いを叶えられるように、子どもと一緒に時間を過ごしていきたいです。

 メンバーは上が28歳、下が10歳なんです。メンバーはそれぞれ色々が個性があります。
そのメンバーが集まって一つの事を目指すってことって、すごく大事なことだと思うんです。その経験ができるのも奇跡だと思っていて本当にいい機会に恵まれたと思っています。

第二回全国手話ダンス甲子園決勝大会


◆(最後に)手話ダンス甲子園も手話言語条例などの社会システムづくりを目標にしているのですが、皆さんは当事者としてこんなサービスがあればいいと思う社会サービスはありますか。
 やっぱり高校(高等部)を卒業した後の余暇活動が大事だと思います。
家族以外とプライベートを過ごす時間がとても大事ですが、実際は少ないですから。
 手話ダンス甲子園で過ごした時間が創れる活動場所がたくさん世の中にできればいいなと思います。
 余談ですが、夏に知的障がい児(者)の集まりでファッションショーやダンスを企画していて、私達ジュピターも参加します。私達もこれからも色々な活動にチャレンジしていきます。

第二回全国手話ダンス甲子園

◆ありがとうございました。あと一つだけ聴かせてください。
ずばり、ジュピターのモットーはなんですか。
 ありのまま。ありのままが最高!!という感じです。
 生きているだけで丸儲けってことですかね(笑)。

地元千葉でのいイベント出演

◆ありがとうございました。
 ありがとうございました。


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