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58歳の男



知り合った時、
まーさんは50を過ぎたところで。

何でも相談に乗ってくれてたのもあって
すごく頼もしかったけど

いつの間にか、わたしが
おんなじ年頃になっていることに
苦笑してしまう。

今はもう、58になって

更に貫禄が増した部分もあれば

わたしを優しい瞳で見てくれる時は
きっとこの表情は
子どもの時から変わんないんだろうなぁと思うし、

今日はきっと、仕事では
嫌なことあったんだろうなとか

何で、わたしといるのに
そんなに空っぽな表情をするんだろうと
感じる時もある。



会えると、つもりもなく
いつも
まーさんを見つめてしまっている。

わたしだったら
「そんなに見るなよ~」って
言いたくなるくらい(笑)

テレビを観てる時も、
テレビを観てる、まーさんを、見てる(笑)

心の中の、何かが
解るわけでもないのに。


まーさんが、わたしの肩に
何となく腕を回しながら
テレビの話題を振ってきたりする
そんな時間が、好きだ。

わたしより何倍も
分別があって
でも、こんな付き合い方で

悩んでないわけないのに。
いつ崩れても、おかしくないのに

今日は、何事もない。
そうすると、この後も
何事もないまま
過ごしていける氣がしてくる。



けど、それは錯覚で。
愛がもっと深まれば、わたし達は
このままではいられない。

何があっても崩れなさそうな
愛しい、この人のハートに
どれだけの衝撃を与えることになるのだろう。

裏のステージ、あと5つ。
わたし達、このあと会えなくなるんだよ。

一度、本物の愛を知って
そこから離れることが
どれだけしんどいか…。

しかも
そのスイッチを押すのは、わたし。
酷だね、このシナリオ…。

愛してる。











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