長い長い記念日《起きぬけ龍神セッション》
ぼーっと目を開けると
いつもと違う窓から
朝の光が、細いラインで漏れてきていた。
そか。お泊まりしたんだった。
現在地確認した途端…
『氣付いたんじゃな?』
間髪入れずに
龍神様の声がした。
この言い方は、
銀龍さんかな?目覚めの龍神様?
二柱さん、両方なんだ。
飛びながらこちらを見ているような
ヴィジョンが入ってきた。
わたしは、その姿を見上げながら
「はい。
離婚なくして本統合なし。ですよね?」
と、不貞腐れたように言った。
まだ少し
不本意、というか「嫌だな」という想いが
ぶり返してきていたのだ。
『ならば、彼より先に
そなたが変わること。
ここも、わかっておるな?』
龍神様たちから、もう1つ問われ
「はい。
そんな役回りの自分を、少し不憫にも思いますが。」
わたしは更に
ぶすっとした氣持ちになりながら答えた。
『ならば、このままさせないでおくのか?』
「いえ。
今から事が起きて構いません」
『…その氣持ち、本当か?』
龍神様にそう聞かれると、ポン!とは返せなくなり
わたしも自分の本心を
もう一度じっくり覗きにいった。
離婚しないでいられたら
一番良かったのかも知れない。
でももう、とどまっている自分を
想像するだけで、苦しくなってきてしまうのだ。
冬、離婚を決めて、
先月、エネルギー離婚して。
それでもまだ
家族と急に離れなくてはいけない展開にはなってない。
ガイドは、待ってくれているのだ。
苦しい。合わなくなってしまった。
そんな自分をわかっていながら、
いつまでこのままでいるつもりなんだ?
「はい。じゅうぶん待って頂きました。」
次の声が返ってくるのに、
少し、待った。
『ならば!
旅立ちの儀を執り行おう』
7時前。
ベッドから出て洗面所の鏡の前に移動した。
すごい記念日の始まり方だ。
3年前の今日、銀龍さんから
まーさんと、2人がひとつの魂なのだと
告げられたのだ。
鏡の前には
3人のわたしが同時にいた。
儀式を前に
家族からいよいよ旅立つ
寂しさと、恐れと、感謝で
涙が止まらないわたし。
それを俯瞰して、
「泣くだけ泣きな。そしたら行くよ。
いよいよだよー」と
励ましているわたし。
そして龍神様に意識を向け、
これからの流れを知りたがっているわたし。
泣いているわたしの上で
『ごめんな』と声がした。
鶴瓶龍神さんが、そっと来ていた。
『ごめんな。
あかんねや。
あいつからは動かんのや。
まきこはんからなんや。
ごめんな…』
それだけ申し訳なさそうに言って、
力なく飛んでいった。
答えることはできなかったけど
氣持ちの整理は進んでいった。
このシナリオを、受け容れよう、と。
少しして涙がふっと止まり
思い浮かんで龍神祝詞を唱えた。
洗面所いっぱいに
龍神様たちの応援のエネルギーを感じ、
それでまた、涙が出た。
わたしは龍神様たちに意識を向け
そこから協議に入った。
役割分担の確認だった。
わたしは
あらゆる物事に、愛をもって進んでいく。
それだけ。
どんな事が起きるか?
どうやってまーさんとのパラレルに
進んでいけばいいのか?
そこは、龍神様が管轄していることなのだ、と。
わたしは「わかりました」と同意し、
忘れないようにしようと
心に留めた。
『以上じゃ。』
上から、声がした。
『ここから帰ると、もう
家の波動は変わっていることじゃろう。
もうあそこは、
そなたを寛がせる場所ではない。』
わたしは少し、表情が硬くなった。
『仕事場となった。
異動が決まっている、お勤めじゃ。
しっかり締めくくれ。』
声はそこで途切れ、
龍神様も散り散りに飛び去っていった。
…そうか。
だから今日は、ここに泊まっていたのかな!?
たまたま持ってきていたブラウスも
何だかOLみたいなデザイン…
これからに想いを馳せながら
わたしは洗面所を出た。