二重の揺さぶり…
「出張から帰ってきたんだ」と
まーさんからLINEが来た。
今、東京駅。このあと会えるかって。
もちろん、わたしは
万障お繰り合わせの上、大至急
家の色々を整えて飛び出す。
いつもなら2時間くらいかかることを
30分でやってのける(笑)
一方、最近
くーさんが妙に優しかった。
先週の横浜旅行も、鬼怒川に続いて
「もう1回くらい、
家族でノンビリしたいよなー」と
夜な夜な検索して
急遽、企画してくれたもので。
運転も全部してくれたし、
中華街のどこのお店で食べようか
評判もガッツリ、リサーチしてくれていたし
今のわたしには
前回の旅行よりも、圧倒的に
こちらが合っていたようで
不快な症状も何も出ずに
楽しんで帰って来られた。
夕食に舌鼓を打っていた時に
地震が来たけれど…
旅行から帰った後も、言葉の端々が違う。
テレビで出てくる曲や食べ物を
「これ、マキが好きなやつでしょ?」とか
夕方、
もうこんな時間かぁってポロッと言うと
「どっか食べに行こうか」とか
街に停まってた、小さな車を見て
「次はさ、もう2人しか乗らないから
こんなのがマキは運転、氣楽でしょ?」とか。
少し胸が痛むけど、
感謝しながら全部、受け取っている。
くーさんだけじゃない。
周囲の男性も、同様に
どういうわけか
わたしをもてはやしてくれる。
自己愛や女性性が高まると、
こうも違うものなのか。
10代から、女性としてチヤホヤされるのが
とてもニガテだったわたしだからこそ
ここの触覚は
しっかり発達しているのかも知れない…
男性にとっては
「人として好き」なのと
「オンナとして好き」なのは、大きく違う。
前者は、オンナを感じさせないほど、いい。
後者は、オンナを感じるからこそ、いい。
若い頃は、前者ばかりが得意で
ボーイッシュなキャラで、
男友達には事欠かなかった(苦笑)
今になって、わたしは
やっとオンナであることを
恥ずかしがらずに出せるようになって
周りが、変わってきたのだとわかる。
そして
好意があるほど、彼らは
それが表に
くっきり出るのを、恥ずかしがるから
とても控え目に
けど、確実に
好意が伝わる方法を選ぶ。
だから、結果として
丁寧に扱われるようになる。
外国の男性のように
女性が
快適で、いい氣分で過ごせるように
何が食べたい?
冷房強くない?
そっちの荷物、持とうか?なんて
氣にかけてくれる。
その優しさは、過剰じゃなく
スッとこちらに入ってきて
自分が、レディでいられるのだ。
50にして、やっとわたしは
こちら側に
テレずに仲間入りできたのだ…(苦笑)
「お待たせ」
カフェに着くと、まーさんは
仕事の残りをカリカリと片付けていた。
そこには少し
わたしも絡んでいた件が
1つ、あったんだけど…
わたしにもっと
しっかり取り組んで欲しかった、と
会うなり、不満をぶつけられた。
わたしは、面喰らってしまって
咄嗟に、何の言葉も出せなかった。
一言でいうと、理不尽?
前にLINEで相談した時、
まーさんは手一杯で何も返信くれなかったし
わたしなりに、できる対処をしたけど
解決できなかったから
既に手放していたことを
いま、咎められて。
少し経って
コトは穏やかに着地して、
軽い話題で笑うこともできたんだけど
わたしの心の中のモヤモヤは
残念ながら、晴れなかった。
「お腹すいた?何食べたいの」
「まだ帰んなくても、ウチは大丈夫?」
まーさんはケロリと
いつもの調子に戻っているのに
「んー、ウチは大丈夫なんだけど
今日は帰ろっかな」
内側に従うと、これしかなかった。
「なんか、怒らせちゃったみたいだし」
…まーさんが一生懸命になってくれてたことは、
ぶっちゃけ
わたしにとってはどーでも良くって。
わたしは今、
家を出る準備を
着々と進めているのよ。
くーさんからの愛を感じながら。
まーさんから、
「一緒にいたい」って
「そばに、いて欲しい」って
言われる瞬間を待ちわびて。
その
視点のズレが、隔たりとなって
今日は
この後一緒にいても、修復できない氣がした。
まーさんは、
「えっ」と小さく驚いてはいたけど
あまり引き止めてこなくて
わたしは、カフェを出たところで
手を振った。
あーあ。
これまでのわたしだったら
折角、出張から帰ってすぐ
わたしと会おうとしてくれたまーさんを
何とか、繋ぎ留めるのに。
でも、内側の奥底では、
これでいい氣がしていた。
わたしは、歩き出した。
下を向かずに。
いつもなら、お互い振り返って
手を振り直すのに
今日は、振り返らずに。
でも。と、帰ってから思う。
結局のところ
くーさんにも、まーさんにも
揺さぶられているよね。
どちらも、家を出づらくする現実。
わたしが創っているのか。
『それでも、出ようとするベクトルを
緩めず進むのか?』と
上はわたしを見ているのかも知れない。
ペンデュラムに聞く氣は起きなかった。
『感覚のまま進んでごらん』と言われたばかりだ。
お風呂に入って
内側とおしゃべりしよう。
わたしは、わたしを
ちゃんと大切にできていたかな。
寂しいね。悲しかったね。もどかしいね。
今日はわたしが
あなたを癒すね。