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お気に入りのカップに出会ってしまいました。

 初めましての方も、またお会いした方もこんにちは。今回は私のお気に入りのカップの話になります。どうぞお好きな飲み物を片手に、またはそうでない方もゆっくりとしていってください。


出会いは一年前のとある寒空

 このカップ&ソーサーとの出会いは丁度今のような風が少し冷たくなってきた頃だったと記憶しています。その時私はエスプレッソにはまりだした頃で、自宅でもレバーマシンを使って美味しいエスプレッソを飲むことを毎日の楽しみにしていました。そんな折、街に出て買い物をしていると期間限定でヴィンテージのカップやお皿などを出店されているお店を見つけました。当時の私はエスプレッソを飲む上でこだわりのカップなどは持っておらず、プリンが入っていた小さめのガラス容器で飲むという始末。そんな状態でなんとなしにお店を覗いてみると、そこに一点だけ全てが黒くまさに漆黒という表現がぴったりのデミタスカップ&ソーサーが置いてあるのを見つけました。・・・・見つけたという言い方は少し違ったかもしれません。それしか目に入らないような、そんな衝撃を受けたことを思いだしました。しばらく眺め、「かっこいいな。これでエスプレッソを飲めたらさぞ気分がいいだろうな。」そんなことを考えていました。しかし、お値段をみると約1万円。10分ほどその場を動かず(お店の方からしたら迷惑でしかない)悩みに悩んだ挙句、結局買うことはなく、その場を立ち去りました。その日の帰り道もずっと買わなかったことをモヤモヤしながら過ごし、いつしか日が経つにつれ、その思いも徐々に薄れていきました。そして一旦このカップとの出会いは記憶の奥底に埋まっていくのでした。

一年後・・・街に買い物をしに出かけると。


 エスプレッソを淹れるのも板についてきた頃、また私は街をぶらぶらと歩いていました。
 目的のものも買えたので、満足して帰路につこうとした時、そこに見覚えのある露店を見つけたのです。本当に不思議なのですが、自然とそのお店に足が向き、気がつけばそこに立っていたのです。お店に陳列されている商品はどれもヴィンテージのカップやお皿たち。その中でも一際存在感を放つ商品が一点。そう。私が一年前に諦めてしまったカップ&ソーサーがあったのです。
 そんな出会い方をすれば、人は自ずとどう行動するか、みなさんお分かりですよね。


君の名は。

 Wedgwood(ウェッジウッド)。
ブラックバサルトシリーズ。デミタスカップ&ソーサー。

 天下のウェッジウッド。ブラックバサルトというシリーズの中のデミタスカップ&ソーサーになります。見てわかる通り、とてつもなくかっこいいです。
 しかし残念ながらこのシリーズは現在は製造中止されおり、ヴィンテージでしか手に入れることができません。このカップに関しても1950〜1962年の間で製造されたものとのことで、カップとソーサーの底面に57と刻印がされているのを見るとおそらく1957年のものになるのでしょう。今から66年も前に作られたということになりますね。

 外観は見ての通りマットな質感。サラサラとザラザラの中間ぐらいの触りごごちになります。内側は釉薬を施し、艶やかな輝きを放っています。66年も前に作られたとは思えないモダンな雰囲気があり、古臭さというものを一切感じさせません。当時の貴婦人たちの白い美しい手をさらに「映え」させ、大流行したそうな。形は違えど「映え」させることを意識していたのだと思うと、今も昔も変わらない女性の美意識はすごいですね。

 ウェッジウッドの創始者であるジョサイア・ウェッジウッドはこのような言葉を残しています。
「黒は純であり、輝きは永遠に続くだろう。」 

 まさしくこのカップ&ソーサーの黒はそういった言葉から作られているのでしょう。いつまでも変わらない美しさを纏っており、手にした人の生活を一段華やかにしてくれる、そんなカップになっていると思います。

 今回はエスプレッソを入れてカステラと一緒に頂きたいと思います。
 それでは皆さまもお気に入りの道具を見つけていただき、ともにコーヒーライフをさらに豊かにしていきましょう。

 それではまた次の一杯でお会いしましょう。

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