起業家との対話の中で
「なるほど。では、来期においてはユーザーに提供するサービス内容を見直し、収益の土台となる事業を作り上げて、そこから得た収益を元に次の基盤となるサービスへの投資を行なっていくのですね。」
30分ほどの面談を通じて得た事業状況の内容をまとめ、簡単に今後の予定と今回機会へ参加してくれたことを感謝を伝えたところで、面談機会は終了となった。
FukuokaGrowthNextでは、定期的に入居している起業家との面談機会を設けており、上記はその面談の一場面を切り取ったものです。
施設の目標は「資産価値10億円のスタートアップを福岡市に100社作る」こと。ステージで言えばシリーズBの領域に到達する企業を創出していく。
入居している企業の多くは、地場の企業や大学から新しいビジネスプランを抱えてやってくる方、そして、幸いなことに施設の噂を聞いて遠く福岡県外からやって来られる方々です。
■面談を行うということ
面談を通じたコミュニケーションを通じては、VCやアクセラレーションプログラム等でもよく行われるメンタリング機会のように、自社のプロダクトに持ち帰りを行うことができるヒント:知識や関係する企業とのアライアンス紹介といったサービスプロダクトが「今ないものへ出会う」ということが起こると嬉しいなと思い取り組んでいます。
面談や施設運営の日常の中にある直接コミュニケーションを行うことができる機会というのは、入居者の事業内容を理解する最適な機会であり、面談を行う施設側の担当としても様々なビジネスプランに触れることができる学びの多い機会です。
機会を通じた中では「今ないものへ出会う」ということが、うまくいく場合もありますし、一方で壁に立ち向かう必要がある企業もたくさんあります。
今回は、面談を通じた中で見えてくる、サービス提供を開始した段階から拡大していく際に事業の発展に立ちはだかるいくつかの壁となる要因についてまとめてみました。
■企業が直面する課題に関するパターン考察
・手元にプロダクトがない
PMFを判断することができない状況(最大の危機・早急に手を動かす必要がある)
課題はあるけれど、その先、自分以外の誰かに届けるまでのもう一歩。
そんな状況が生じることってあるんだろうか、と思われる方もいると思うんですが、マーケティングやリサーチが思うようには進まなかったり、開発のためのリソースが整わない状況が続く場合に、結果として確認すべき内容を受け止めるためのプロダクトがない状況が発生する場合があります。
この状況では何も話をすることができず、「課題となっているものを速く取り除くための行動をとり、提供できるプロダクトを作りましょう」という一点に尽きることとなります。
・マーケティングが行えていない
自身のプロダクトが活きる場所を理解できていないためサービスはピンボケしている
∟ 周辺領域(インサイト)を認識できない
∟ ユーザーヒヤリングが行えていない
∟ ターゲッティングが曖昧
∟ 運任せ
まっすぐに目的地に進んでいくことの難しさ。
*プロダクトはあるが、という前提での内容となります。
ユーザーへの提供サービスを作り上げ、滑り出しからの動きは取れているものの、市場の変化やその後の状況変化を観察することが十分には行えておらず、サービスが今どの状況にあるかということが正しく設定できていない状況であることが多い。
軸となるアイデアが定まっていない状況となるため、サービスの説明が困難となったり、提供内容のディテール(プライシング等)を設定する段階で「果たしてこれで良いのだろうか」という悩みの種が尽きない。
サービスを営業する際のアクセルをうまく踏むことができず、蛇行してしまう。
・仲間が少ない
環境的な要因も関係するけれど、基本的には直接的な関係者以外とのネットワーキングが行えていない
∟ 創業者がアイデアマン(セカンドブレーンの不在)
∟ 第三者の話が聞けない
霧の中を進むのは不安で、一緒に歩く人がいるだけで心強い。
時間的な余裕であったり、複数内容を兼務する必要がある状況であったり、業務内容を効率化するという大きなビジネスモデルに紐づけられるような業務委託により、生成するプロダクトを作り上げるためのアイデア、およびリソースが少し離れた場所に存在するような状況が生じている。
アイデアが遠くなることで、自家発生を起こす必要があるため第三者的なアドバイスや俯瞰的な視点が入りにくく全体像が見えづらい状況となってしまう。
・経営思想のアップデート
世の中は変わっているけれど、経営のための思想がアップデートされていない(そのため、大きなわかりやすい物語(知っている大企業のやり方)に陥りがちになる)
∟ 知識が足りない(インプットが少ない)
∟ 事業項目を小さくできない(ビッグバジェット)
∟ ミニマルでプロダクトセールスを展開できない(分解できない)
理想を近い将来に引き寄せるために。
リーンスタートアップやアジャイルといったサービス開発の思考、手法といった動き方といったものもここ10年くらいの間に西洋から輸入されてきていますが、その内容がまだ広い範囲では広がっていない状況ではあります。
それ自体が必須というわけではないのですが、なるべく安く、お客に提供できるために活用することができる基本的な知恵にはなるので、それを知らないとものづくりのコストは本来かけなくてもいいことに費用を払うことになり、実現可能性が大きく遠のいてしまう。
仔細にはまだまだ記載は行えますが、まずは上記のような内容が主要な内容となります。
幸いにも事務局員という立ち位置から、たくさんの人の話を聞くことができるため、それらをつなぎ合わせることで現状の課題に何か一つでも不安を解消できるようなアイデアが生まれるのではないか、という思いで会話の中に言葉を添えています。
何かご不明な点やこれもあるんじゃないだろうかというアドバイスがありましたら、ぜひご連絡ください。