なめらかなオンライン配信の世界(3)
*今回の記事につながる前回記事はこちら
行楽に関する話も現在地点ではどこがいいだろうか、あそこかな、いや自然、なのでは?と、今後の予定についてよく考えるしだはらです。
今回は前回記事で途中となっていた内容について、今後の展望について現時点での内容を書いてみます。この記事を通じてよりオンライン配信の自由度が高まると嬉しいです。
ビジネスに添えるオンライン配信
前回記事の中では主にイベント参加者についての新しい視座「視聴者」という立ち位置について触れました。これは昭和以降、長年培われてきたTVというメディアへの敬意を持って、その立ち位置が緩やかに、特に若い世代においてはオンラインへ移行したという状況を想定しています。
この状況において、オンライン配信をする側、またはビジネスとして活用する側としてどのような取り組みが行えるのだろうかという部分の考察を添えていこうと思います。
オンライン配信の価値
イベントのオンライン配信について、コロナウィルスの代替としての価値以外の部分を見つめてみると「参加者」「運営者」でそれぞれに以下が生じている。
1.空間制限からの解放
∟ 参加者:空間の移動からの解放
∟ 運営者:必要最低限の空間で開催できる
2.時間からの解放(動画のアーカイブ配信を前提として)
∟ 参加者:自分の取得可能な時間帯で視聴できる
∟ 運営者:継続的な動画資産
3.(視聴者として)参加の気軽さ
∟ 参加者:「1.」と重ねられるような内容として二次イベント参加
∟ 運営者:導線準備によるファン獲得機会の獲得
どれも重要なポイントであると思うんですが、特に運営者側においては「2.」の部分、アーカイブされた録画データの利活用を意識しておく必要があると思います。
オンライン配信空間における時間軸
アーカイブ配信を起点とした動き、またはそもそもの動画配信の歴史を辿っていくと2000年代の勃興から2010年代のオンライン配信への移行から現在までの中で、dommuneという動画配信メディアの足跡とその功績に考えがいたります。
dommuneとは?
アーティストの宇川直宏が2010年3月1日にDIYで開局した、日本初のライブストリーミングスタジオ兼チャンネル。
「ライブストリーミング」とは、PCやスマートフォンなどで、映像と音声からなる「生配信」を楽しむことができる、インターネット上のTV番組。
参照:http://www1.dommune.com/about/
動画メディアの黎明期からクラブカルチャーとメディアアートへの深い視座より立ち上げられた動画配信サイトで、その名前がインターネット上に広く知られるようになったのは奇しくも大手のメディアが混乱の最中にあった「3.11」以降のタイミングでした。話すと長くなるので、気になる方はネット上で情報を探ってみてください。
さて、dommuneは動画配信サイトとして、オンラインでの番組配信を行いながらアーカイブの収録を開局以降継続しており、そこに登壇した数々の著名人の貴重な動画情報を貯め続けています(アーカイヴ)。
この活動が最も希少価値の高いものであって、dommuneというサービスの時間軸には配信中の現在イベント、予定された未来イベント、アーカイヴされた過去イベント(一般公開はしていない)、という3本の時間軸が存在する。
この3本軸が前後しながら、絡み合っていく状況というのがdommuneの凄みであり、最大の価値であるというのが僕の見解です。この点については、dommuneが参加した瀬戸内国際芸術祭2019で明確になった。
このdommuneが指し示した動画メディアの時間軸とその配置をFGNのインキュベーション施設として応用すると考えたとしたらというのが今回の文章のメイントピックとなります。つまり、あるテーマ性に沿った動画コンテンツを「過去・現在・未来」の3つの軸で回遊可能な状態で公開し、継続的にコンテンツを追加拡充していくこと。
イベントコンテンツの構成に時間軸を付加する
既存のオンラインコンテンツを眺めてみると、以下の状況が用意されていることが多いです。
1.SNS等による告知と申し込み
2.イベント当日と配信用URLを経た上での参加
3.参加後の談話やマッチング
この構造の中に前段の時間軸を盛り込んでいくと、
1.SNS等による告知と申し込み
2.【現在】イベント当日と配信用URLを経た上での参加
3.【未来】参加後の談話やマッチング
という風に「現在」「未来」の軸を用意していることが多い。
しかしながら、「過去」についてはあまり運用されているケースは多くありません。イベント自体の目標はより濃密な関係性の構築、マッチングに主があると考えると、より体験を増強できるように「過去」軸も有効なPRの材料として利用することが良いと考えています。そこから、考えられる企画案としては以下の通りです。
1.【過去】告知と申し込みにおける連続するイベントアーカイヴの紹介
2.【現在】イベント当日と配信用URLを経た上での参加
3.【未来】参加後の談話やマッチング
こういった構成を示すことで、1つのイベントに滞在する時間を最大化すること。そしてもう一点は紹介する画面については、1つの画面上で提供することが重要であると思います。
視聴者は1つのイベントに参加することにより3つの時間軸を旅することができる。オンラインの体験を最大化することで、コミュニティやチャンネルでの知的体験を最大化することで、ファンを増やしていく。そうすることで期待するようなマッチング、または何かしらのセレンティビティが増強されてい状況が作られていくでしょう。
僕自身もこれから上記を意識しながらコンテンツの置き方を考えていくところであり、実効値は薄いものではありますが、これまでの配信イベントの経験を共有し、より良いオンライン配信イベントが広がっていくことを期待しています。この苦難の半年を経てより良い世界が出来て行きますように。
ではでは〜。何か気になる点やご意見などありましたら、ご連絡ください。