ドライブ中の怪奇現象

約2週間前のことである。

僕と母は車で湯布院の山奥をぶらぶらドライブしていた。

時間はおよそ23時あたりであり、その日は満月で月明かりが眩しい日だった。

湯布院の山奥は森に囲まれた道路がずっと続くだけであり、周りに民家もコンビニも存在しない。

そんな山道をマニュアル車でかっ飛ばして走る、車好きにとっては至福のドライブスポットである。

鶴見岳を抜けて由布岳の登山口を過ぎ、湯布院の街へ下りてゆくその山道の中で、僕と母は見てしまったのである。

先ほども言ったように周りは森に囲まれていて、該当なんて存在しないため、道を照らすのは月明かりと車のヘッドライトだけであった。

そのヘッドライトに、人影が写った。

道路を挟んだ森に、人影が写った。

車がさらにそれに近づくと、人影ははっきりと、人に見えるようになった。

いや違う、確実に形のある人間なのだ。

その人間は白い布を中東の民族衣装のように巻いてはいるが、ところどころ薄汚れていて、見た感じ30代から40代の男性だった。

その男は森から姿を現して、道路を横切って森を下って行った。

車のヘッドライトにおびえることもなく、むしろ近づいてくるような勢いで悠々と道路を渡っていった。

僕のブレーキがあと1秒遅れていたら、おそらくその男を跳ね飛ばしていただろう。

その男はこの世のものではないのではないか。

そう思ったわけだ。

皆さんも湯布院の山を運転するときは気をつけて欲しい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?