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【漢文】疫病

後漢時代の『論衡』という書物に、「顓頊(せんぎょく)」という皇帝が出てくるのですが、この皇帝の三人の子どもはみな鬼になってしまいました。そのひとりが疫病を流行らせる鬼です。


【原文】

顓頊氏有三子。生而亡去為疫鬼。一居江水、是為虐鬼。一居若水、是為魍魎鬼。一居人宮室区隅漚庫、是為小児鬼、善驚人小児。

【書き下し文】

顓頊氏に三子有り。生まれながらにして亡げ去りて疫鬼と為る。一は江水に居り、是を虐鬼と為す。一は若水に居り、是を魍魎鬼と為す。一は人の宮室の区隅漚庫に居り、是を小児鬼と為し、善く人の小児を驚かす。

【現代語訳】

顓頊氏には三人の子どもがいた。生まれるとすぐに逃げ出して疫病神となった。一人は長江にいて虐鬼という。一人は若水にいて魍魎鬼という。もう一人は人の家屋の隅や暗くじめじめした倉庫の中などにいて小児鬼といい、よく小児を驚かせた。

※教材用に一部改変しています。


「虐鬼」は人を恐ろしい疫病にしてしまう暴虐な化け物のようです。

この一節は、「訂鬼」という章段に書かれています。この名前から分かる通り、鬼で病気になるという考えを訂正する、という趣旨の章段です。この時代でも、「人は鬼によって死ぬのではなく病気で死ぬのだ」ということはちゃんと分かっていたのです。

つまり、こんな話は迷信だよ、みたいな引用なわけですが、子どもが3人とも鬼になるってのはなんとも可哀想な話です。


自粛警察や風評被害etc.コロナウイルスよりも人間の心の中に巣食う鬼の方がよっぽど怖い。

アベノマスクはまだ届いてないけれど、スーパーには大量に使い捨てマスク出回りだした。なんやねん。

という取り留めもない話です。


安井直人

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