談話室No.3 自分だけは助かるかもしれないという幻想
人々は競争という仕組みの中で、 自分だけは助かるかもしれないという幻想で 生きている。 〜高橋源一郎〜
自粛が解けて、休日に少し買い物にと思い外出してみると、意外にも外出している人の多さに困惑します。「おそらく自分は感染しないであろう」と、自分を含め、多くの人が心底では思っているような気がします。
あのコービー・ブライアントの死に驚いたことは記憶に新しいです。彼は「人間の一生はあっという間」と言っていたそうです。いつ、どこで、自分にどのような危険が降り掛かるか想像もしていませんが、明日とも知れない命であるということが私の生きる現実なのだと、彼からあらためて教わりました。
新型コロナという危機がもたらした「ニュー・ノーマル」(新たな日常)は、これが私たちの「現実である」と教示してくれています。よって、私の行動一つひとつが「自分だけが助かる」ではいけないことを教えてくれているような気がします。
せかせかと働かなければならない日常に戻り、ようやく従来通りの生活が来たと安堵しています。ふと考え直せば、また競争的日常です。しばしの精神的安息を得ながらも、現実的にはいずれ第2波が来るかもしれないと自分に言い聞かせます。
今日は、高橋源一郎氏の言葉を深く頂戴しました。
合掌
※冒頭引用(高橋源一郎『弱さの思想』)