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仕事つくる#15 これからの地域の不動産事業を考える

本日の内容に触れるにあたりはじめに断っておかなければならないのは、私は不動産事業を営んでいないといことだ。不動産会のふんどし王子こと山屋悟さんが述べるように、「最も高くつくのは、やったことのない人からの無料のアドバイス」であるため、さらっと受止めていただく程度がよろしいかと思う。

地域における空き家問題

国土交通省では1年以上住んでいない、または使われていない家を「空き家」と定義している。よく「家は住んでいないとすぐに痛む」といわれるが、長く住んでいないことで景観上の問題や衛生上の問題、倒壊などによる保安上の問題が起こり得るとされ、地域住民からしたらいち早く解決したい問題である。また、当然ながら都会よりも過疎化が進む地域で顕著になっている。

私が住む岡山件西粟倉村では、地域の土建屋さんがこの問題を解決すべく「空き家管理業」を3年前(2016)にスタートした。西粟倉村では片田舎では珍しくここ数年で移住者が急増し、それにともない世帯数も過去最高を更新し続けている。

この状況だと当然住むところが必要になるわけで、村としても村営住宅を整備したり、民間企業が新築を建てたりして補っているのだが、もともと存在する空き家をうまく活用することが最も合理的な対策といえる。そのため、空き家管理業という新しい仕事が発生した。

詳しくは、西粟倉村で実際に空き家管理業している森本真志さんがnoteにまとめてくださっているので、そちらをご覧いただくのがよろしいかと思う。


残る田舎と消える田舎の二極化が進む

今後日本の人口が急激に減少するのは周知の事実である。総務省が発表している予測では、日本の人口は2053年に1億人を割込むとされている。そして、ただ単に人口が減少するのではなく、高齢化が進み生産年齢人口の割合も少なくなることも頭に入れておかなければならない。

日本の生産年齢人口の推移

また、都会と田舎の二極化が進むとされていて、働き手がいなくなった地域から消滅していくことは避けられない。

しかし、地方自治体が積極的に先進的な取り組みを行う地域では、若者を中心に移住者が増えているという事実もある。先にも述べたように私が住む西粟倉村がその例だ。これは、田舎でのんびり暮らそうという思考ではなく、田舎でチャンスをつかもうという若者の意欲をうまく自治体がすくい上げている結果だと考えられる。このように一重に地方といえども、残る地域と消える地域の二極化が進んでいくと思うわけだ。


これからの地域の不動産事業を考える

不動産業会では2000年ごろから、中古物件を安く仕入れて自分の手でリフォームし賃貸に出すというビジネスモデルが流行し始めた。火付け役となったのは、北海道の大大家である加藤ひろゆきさんではないだろうか。彼はハリウッド挑戦に挫折し無一文で不動産業をスタートし財をなした人物だ。これまでにたくさんの書籍を出版されているが、新たに今年4月からvoicy(インターネットラジオ)のパーソナリティを勤めていて、内容が大変面白いためさらっとおすすめさせていただく。

不動産事業は、一度構えてしまえば労働を伴わなくても収益をあげられることからビジネスモデルとしては大変優れているといえる。加えて、加藤さんが実践されてきた中古物件賃貸業では、その買取価格の低さからも都会より田舎の方が圧倒的に有利になる。しかし、これまでと同じことをしていても人口減少の波に飲まれ客付が難しくなるのは目に見えている。

そこで、これからの地域の不動産事業では、自らの利益だけを考えるのではなく、地域を盛り上げる一プレイヤーとしての目線が大変重要になってくるのではないかと思うのだ。空き家は何もしなければ腐敗していくお荷物になるが、うまく利用すれば地域活性を支える重要なツールになりえる。そして、空き家を活用して不動産事業をしたくても、見ず知らずの人間には売りも貸しもしないのが地方の方の特徴といえる。したがって仕事以外でも消防団やお祭り等地域の習わしに積極的に参加し、まず受け入れられる人間でなければ物件を所有することすらできない。加えて、自らがその地域を盛り上げて人を呼び込むくらいの気迫がなければ、お客様もついてこないと思うのだ。

そもそも地方では家賃相場が低いため、空き家を収益物件化するのはそう簡単なことではない。それを理解した上でではあるが、パワフルな若者が一つの仕事として、また地域活性の一プレイヤーとして不動産事業を手がけるのも面白い時代なのかなと思う今日この頃である。

本日はこのあたりで、

ではまた。

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