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仕事つくる#1 ニッチで過酷で未成熟な業界に可能性を感じてしまう変態思考
はじめましての方もそうでない方も、こんにちは。半田守と申します。
6歳から24歳までレスリングをしていたはずなのに、28歳の今、気づいたら岡山の山奥で薪を割っておりました。25歳から27歳の端折った部分に関しては現実の10倍かっこよくまとめてくださっている記事があるのでおヒマなときにご覧いただければ。
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さて、2018年1月から西粟倉村の地域おこし協力隊((株)sonraku所属)として木質バイオマスエネルギー事業の実践と勉強をしているのだが、移住する前と今とではモチベーションの源泉が明らかに違うことに気づいた。そしてこの視点を大事にしていきたいと思っている。
と、その前にバイオマスエネルギーというものについて触れておこう。まず、バイオマスとは「再生可能な、生物由来の有機性資源」であり、バイオマスエネルギーとは「家畜の糞尿、食品廃棄物、木質廃材などの有機ゴミを燃料としてつくられるエネルギー」のことをいう(その中で木質材に限定したものを木質バイオマスエネルギーとよぶ)。
世界的にみてバイオマスは最も利用されている自然エネルギーだったよ
2017年時点で、全世界の最終エネルギー消費量の割合は化石燃料が78.4%とほとんどを占め、自然エネルギーではバイオマスが14.1%、ついで水力が3.6%と大きく差をつけている。ただ、これにはカラクリがありましてな。バイオマスの14.1%のうち9.1%は、伝統的バイオマスといって調理や暖房の熱源として発展途上国などで使われているもので、私が実践中の現代的バイオマスの割合は4.1%ほどしかない(それでも水力より上回っている数字ではあるが)。まあ、バイオマスという言葉は聞きなれないかもしれないが、はじめて火を使ったホモ・エレクトス先輩の頃(100万年前と推測)から産業革命(16世紀)までの間はバイオマスがエネルギー消費量のほとんどを占めていたのだから人類馴染みのエネルギーなわけだ。
ちなみに現代的バイオマスとは、燃焼によりタービンを回し発電をしたり、ボイラーを使って効率よく熱を取り出したりするもので、1900年代から先進的に森林資源の活用をおこなっている欧州で発達した技術である。
話は戻りモチベーションの源泉について
移住する前と、一年間バイオマス事業を実践した今とでは見方が全然変わってしまったという話。ちなみに、一年間何をやっていたかというと、毎朝5時半に起床し家から車で10分ほどの温浴施設の薪ボイラーに火をつける作業。そして日中は薪割りがメインオペレーションだった。また、たまにsonrakuの井筒社長の仕事の手伝いをしたり一緒に視察に連れていってもらったり。汗をかいて実感した部分と客観的に観察した部分と両方経験できたのは大きかった。
移住する前のモチベーションをざっくりいうと「木材産業の中で出てくる未利用材を使った持続可能なエネルギー循環をつくってみたい!」というある種のロマンでありましたな。だが今は違う。まず、工場のキャッシュフローを計算したところ、リスクのあるインフラ事業にも関わらず全然儲かってない。なおかつ数件視察をしたが、経済的にも技術的にも上手くいっている事例が少なすぎることへのショック。そして上手くいっていたとしてもどこも大変そうと。。移住する前に読んだバイオマス関連本に何度も登場したあの美しい循環のイラストは、相当頑張ってる人たちがいてはじめて順繰りしていたという事実(笑)。
しかし、そのような感想を抱いてしまった私の今のモチベーションはむしろ高いのだ。なぜなら、2020年に森林環境税導入が予定されていて各地方で森林整備が強化される。そして、木材産業を順繰りする中で必ず未利用材が発生する。しかし今の日本にはその未利用材をエネルギーに変える正しいスキームが根付いていないという事実。このニッチで未成熟な部分に非常に萌えポイントを感じてしまう。
これは捻くれた人生経験からかもしれない。レスリングでそこそこの成績が残せたのは競技人口1万人のニッチなスポーツだったからだ。そして、個人事業として行なっているレスリングウエア販売もニッチな市場であるため大手が力を入れてこず、非常に呼吸のしやすい環境なのである。凡人スペックな私が野球やサッカーをしていてもモノにならなかったであろうし、それらのグッズを販売しても王手の広告力に為す術もなかったはずだ。
ソーシャルビジネスに関わる者としては非常に視野が狭いことは自覚している。ただ、勝てるポジションを全力で奪いにいくモチベーションは本物であり、それがゆくゆくは全体のためになればいいという開き直り。今後は少しマニアックな内容になるであろうが、異分野にチャレンジしている同士の方なんかにたまに立ち寄ってもらえるとうれしいですな。
ではまた。