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中部中心市街地活性化ネットワーク会議in半田、開催しました

先週の8月24日、25日の二日間、半田市にて「第15回中部中心市街地活性化ネットワーク会議」(主催 ネットワーク会議 共催 半田市中心市街地活性化事務局連絡会議)が開催されました。
私は会議開催の誘致段階及び企画検討から関わりました。初日はインプット、二日目はアウトプットという構成、かつ、今回からは参加費を財源とした自主財源開催です。
新型コロナ期での中断を経ての再開の初日はネットワーク会議の会員のほか、半田市からも中活にかかる関係者、事業者も出席があり、70人を超えるなど非常に活発で熱のこもった会となりました。
なお、詳細は独立行政法人中小企業基盤整備機構 中心市街地活性化協議会支援センター様のサイト「まちかつ」で記事としていただける予定(8/30現在)ですので、ここでは様子だけお伝えします。

今と、これからの中心市街地活性化を考える

 今回のテーマは、「今と、これからの中心市街地活性化を考える」でした。
 新型コロナ災禍では、様々な行動様式が変わったことを覚えておられる方は多いかと思います。また、それまで内需や国内の価値向上ではなく経費節減を進め、一方でインバウンド観光客のもたらす外需に依存しきっていたことがいかに危ういものかも明らかになりました。WEBを介した働き方が広まり、働き手が地域で過ごす時間が長くなりました。
 結果的に、最寄品を取り扱う店舗の業績などが回復したのです。
 これはつまり「地域に”日常的に”・”朝・昼・夜”人がいる時間が長ければ、より多くの人がいれば、地域での様々な機会が生まれる」というごく当たり前、しかしながらおろそかにされてきたことを可視化してくれたと言えます。
 「復興」のモデルになる過去はあるでしょうか?
右肩下がりだったコロナ前の苦闘するまち?右肩上がりだったから実現できた懐かしきあの頃の人込みのまち?
 その過去を「ふたたび興そう」とすることに、残念ながら意味はないのです。実現したところで、その先がないからです。
 コロナ災禍の前とこれからの中心市街地活性化では何を継承し、何を創造し、変えるのか。日本全国、現場で活性化に関わる人たち・施策に関わる人たちがそれをいったん整理する段階にあるのではないか、という思いがこのテーマに込められています。

1日目 インプットの日

ネットワーク会議会長小口さん、半田市久世市長の開会の号令、中心市街地活性化に向けての思いが語られたのち、観光協会事務局長榊原さんと市長特任顧問である私がそれぞれ、半田市・中心市街地の状況についてお話してから、いよいよ会はメインコンテンツに入っていきました。

基調講演 「今と、これからの中心市街地活性化」

和歌山大学副学長 足立教授による講演

中心市街地活性化の必要性と、その視点について分かり易くお話しいただけました。
活性化のためには…

・関わる人を増やす。リピーターを増やす。
・観光客、若者・女性に支持される職場…新たなニーズを取り込んでいく
・エリアマネジメントの仕組みを作り実践する
・2年以内に動く
などなど、来場者も熱心に聞き入っていました。

パネルトーク「若者が戻りたい、関わりたくなる中心市街地」

地域の若手事業者、勤め人、大学生と足立先生とのパネルトーク

 半田市内に通学する大学生、在住の勤め人、飲食店経営者に半田とのつながりや半田への思い、そこから通して若者が活躍、暮らすことができる中心市街地についての意見交換を行いました。
 印象的なのは、みなさんがまちの中でかつて、
・あこがれる人に出会って何かに打ち込んだ
・苦境にある中で、仲間と地域の取組みを成し遂げた
・地域のコミュニティと関りながら活動をしている
というように、
「まちの中での記憶、体験、そこから来る感動や喜び」
を語っていたこと。
とかく、一般的に地域活性化においては
「若者は労働力、力仕事」という悪弊が残り、それが嫌で地域を見限っていく若者が多い中、パネリストから聞かれたのはその反対であり、地域の人や団体がプラットフォームとなって、
「したいことに気づけ、育てられる」
ものとなっていることでした。
「チャレンジし、実現できるまち。その環境」
これがまさに、若者が関わりたくなるまちだと感じました。

まちあるき

観光協会さんによる中心市街地のまち歩き

4つのグループに分かれ、中心市街地をまち歩き。
と思ったら、雨天の都合上、急遽、会場に参加してくれていたミツカン沢田さまにミツカンさんの歴史や地域とのかかわりについてお話しいただきました。

まち歩きは観光協会さんのコーディネートにより、半六庭園、運河、小栗家住宅等でのガイドもしっかりしていただけました。
半田市中心市街地を歩いてみると、よくわかることがあります。
それは、
・運河やJR半田駅東側は見聞する場所が多く、まち歩きに時間がかかる
・知多半田駅~半田駅のエリアは、案内すべきところがない
ということ。
そのことについては、まち歩きにご参加いただいた多くの方が同様に感想を口にしていました。
前者を磨き、既存資源を利活用しつつも、後者にいかに案内できる・伝えたくなる場や環境・取り組みを作りこんでいくか。
これはやはり、喫緊の課題です。

交流会

半田の「是非食べてほしい食」「飲んでほしいお酒」でおもてなし

交流会もまた多くの参加がありました。久世市長の姿も!
あちらこちらで名刺交換の姿や、久々の再開・再会で弾む会話、半田についての意見交換など、とても良いムードで交流の光景が見られました。
飲食で提供されたものについては、観光協会のコーディネート力と地元事業者さんの力がかっちりかみ合い、懇親会費に対して、半田をこんなに体験できる?というほどのおもてなしクオリティだったと思います。
ひそかに、「次回ネットワーク開催地の懇親会のハードルを上げたい」と思っていただけに、シメシメ…

2日目 アウトプットの日

私は人材育成の研修畑にも関わったり、企画することが少なからずあります。
「聴きっぱなしは意味がない」
と思っており、必ず
「落とし込む」
ためのワークをセットにしています。
今回も、様々な地域、職業背景の参加者をまぜこぜに5班構成し、グループワークをしました。
非常に盛り上がる場となりました。

テーマ1「これまでの中心市街地活性化、これからの中心市街地活性化」について
グループディスカッション
テーマ2「妄想Aエリア!(知多半田駅エリアの近未来こうなったらいいな、の妄想)」

各班、実際に中活に取組んでいるネットワーク会員と、これから中活に取り組む半田市関係者が入り混じっています。
それゆえに、中活の現場とディスカッションケーステーマである半田の情報が良い具合にミックスされていたように思います。
特に盛り上がったのはテーマ2の「妄想Aエリア!」でした。

導入部に、私の方から各地で実践している妄想ワークショップと、妄想の必要性についてレクチャー。
そして、各班に「自由表現」でこれからの知多半田駅エリアのあったらいい妄想を展開してもらいました。
大きな笑い声が聞こえる班、模造紙を白板がわりに熱っぽく語りあう様子、模造紙にフリーハンドで地図を書いてにぎやかな絵にしている班など、それぞれが思い思いに取り組みます。
・自由であること
・過去を作るのではなく今とこれから目線
これらがいかんなくこの場を盛り上げてくれています。
どの班も知多半田駅と半田駅を結ぶ道路「泉線」に着目していること。きれいなだけのまちではない、遊びのあるまちのような「陰と陽」について言及している班もいくつかあるなど興味深い発表となりました。
半田商工会議所松石会頭から全体講評と、中心市街地活性化に向けた前向きで熱い思いと言葉が語られ、ワークショップは無事終了。

施策情報、事例情報インプット

中部経済産業局さん、中部地方整備局さんの施策・事例情報、中小機構さんの支援策情報提供にも釘付け

経産局さま、地整局さまからの情報提供も実に有意義でした。単なる施策情報の紹介ではなく、今の中活やまちづくりの考えかたのご説明がまずあり、その上での制度の内容や方向性についてお話しいただけたため、あまり国の支援などにつながりのない現場の方にとっては、新鮮な情報提供となったのではないでしょうか。また、中小機構からご参加いただいた職員さんにも急遽、支援情報をお話しいただきました。

おわりに

新型コロナ災禍で中断していたネットワーク会議を、これから中心市街地活性化の再構築をしていこうという半田市で実施していただいたことは、半田市にとっては大きなきっかけになることであったと感じています。
また、日々、現場で携わる中活関係者はとかく、孤立したり、なかなか考えが通じることがないなど、壁を感じることも少なからずあると思います。このような場でそれぞれの地域の仲間と接し、情報交換できる場は(私は東北地域でも同様の会議に関わっていますが)壁を乗り越えていく力を得ていくうえでも非常に有意義です。
また、今回は公的機関の支援に頼らず会費で実施されたことも「中心市街地活性化は民が主体的に取り組む」という考え方にマッチしていると思います。
今回の失敗があるとすれば、開催時期でしょうか。
お盆明けの8月は比較的参加しやすいと踏んでいたらところがどっこい、むしろお盆休みで実働日が減っている分、みなさん忙しく参加が難しい!

やっぱり、7月か11月くらいがいいみたいです。

今後はこのような場づくりも、これまで以上に半田市中心市街地で行われていくことになりますので、その点でもよい学びとなりました。

改めて、中部中心市街地活性化ネットワーク会議の皆様、開催にご尽力いただいた関係者の皆様、ご出席くださった参加者の皆様など、感謝申し上げます。

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