漆器店の倒産に思う
衝撃
Google ニュースってヤツは、私の関心ありそうな記事をよくもまあ見つけてくるもんだなぁと感心します(笑)。
忙しい日などは、ゆっくりと新聞の紙面に目を通す余裕がないときもあり、それでも、地元会津のニュースや、おくやみ欄ぐらいまでは“立場上”見るようにはしていますが、なかなかすべての紙面に目が行き届かなかったりします。
そんな私は、パソコンの電源は毎朝入れてブラウザを起動するのが日課になっているので、ニュースサイトは否が応でも目に入ります。そして、
「あなた、昨日は忙しくてこのニュース読んでないでしょ?」
と言わんばかりにAIは(?)画面にプッシュしてくるのです。
その日の朝に通知されてきた画面は、眠気が一気に覚める内容でした。
「会津若松市の漆器店、自己破産申請へ」
ウチの工房がよく取引をしているところだったのでとても驚きました。
慌てて前日の朝刊を探すと小さくはあったものの確かに載っていました。
こんな重大な記事を見逃していたなんて…。
影響
「自己破産申請を開始する」と報道されたこの会社には当工房もこれまで大変お世話になっており(というか当工房の売り上げの8割はこの会社)、今後の受注量に大きく影響することが懸念されます。
それよりも、昨年12月納品分からの支払いが止まってしまいました。
2月20日には、16万円ほどの入金があるはずでしたが、その前日の19日に支払い業務を停止した、と報道されています。
2月までの未払い分を合計するとおよそ23万円。
大ダメージである。
この会社が経営不振であること、実は、兆しは何年も前からありました。
支払いの期日が少しずつ後ろにずれ込み、支払額も全額ではなく一部を翌月に回して欲しいと懇願してきたりすることもしばしば。
そして営業店舗も観光地の敷地内にあったのが、市内の別の場所に移転したりしました。
経営が困難なのはわかっていたものの、
それでも、支払いが止まるとは想像していませんでした。
(実に、甘い!甘すぎた…)
通達
ほどなくして、某法律事務所の弁護士から封書が届きました。
もう弁護士を通してでないと話はできないようです。
最初に、「どのくらいの債権があるか?」
という問い合わせがあり、指定の書面で回答すると、
数日後返信が送られてきました。
『お詫び』と題したその返信内容をざっくりいうと、
「返済能力はありません。当社の窮状をご理解ください。」
というものでした。
負債総額はおよそ2億5千万円なのだそう。
債権者は89名とのことなので一人あたり約280万円。
そう考えると、ウチよりも大打撃のところが他にも多数あった模様。
どうやらお金が戻ってくることはなさそうである。
(このあたりの法律的なことには疎いので、「不服申し立て」?みたいな取り返す方法があるのかどうかがわかりません。仮にあったとして、裁判?とか労力がかかることには正直リソースは割きたくないです。)
今後
23万円分の売り上げが回収できないのもかなり痛いのですが、
今後、この会社からの注文が来ないとなると仕事量は大幅に減ってしまうことでしょう。
他のところから注文が定期的にくれば良いですが、これまでの実績を考えると期待はできません。
漆器業界自体、これから成長していくとはちょっと考えにくいですしね。
ここはひとつ転換期だと思ってこれまでの体制を見直すいい機会だと割り切ろうと思います。
前向きに、ポジティブに捉えましょう。
以前、私はこういう記事を書きました。
怒涛の注文がきて、自分のものづくりができないことを嘆いた記事です。
時間ができれば、その分、好きなものを作る余裕もできそうです。
「ものづくり」には体力を消耗します。
あと何年やっていけるかはわかりません。
どうせなら自分の好きな納得のいく「ものづくり」をしていきたいですね。
今回の騒動、私にとっては追い風になってくれるかも知れません。
(まあ、父は気落ちしてますけど…)
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