2023拾っただけ

心からチキンラーメン砕く音聞こえるけれどまだ水曜日

お刺身になっても動く骨だけの魚になって抱き合いましょう

ゆっくりと真っ直ぐ平行に歩いて家まで涙をこぼさぬように

悲しくてうずくまる日もカーテンの揺れと炬燵の弱は優しい

誰ですか私を呼ぶの呼ばないの冬なら寒くても耐えられる

毛糸買う別になんにも編まなくて部屋に優しいものが欲しくて

忘れない忘れないって帰る道ほんとは忘れたいよわたしは

冬が来たみんな静かに受け入れてマフラーを巻くけどいいのかな?

真夜中に鶏肉を切るにくいひとあなたも唐揚げにしてあげる

あなたには多すぎる好きわたしにはひからない星真夜中を蹴る

ドートルのカフェラテの大きい方を持て余しつつ帰宅を伸ばす

わたし用ちゅーるを啜るにくいひとあなたを最愛にしてあげる

全員が幸せになる事は無い渋谷のスクランブル交差点

自分でもよく泣くなあと思うけどそのうち河になれたらいいや

休日は人と喋らずテレビとも喋らず夜に蚊がひとり来た

給料日シャウエッセンを買ったのだ全部一人で食べていいのだ

お手紙が届いてないか確かめるきつねうどんのあげの裏まで

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よく叫ぶ北京ダックだなあ口に甜麺醤突っ込みたいタレント

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世界中の新聞を破くまで死ねないあなたをちゃんと眠らせたいから

箸よりもフォークの方が武器になるから洋食を選ぶファミレス

たとえばさ私がカレーうどんなら自由に跳ねさせてくれるんか?

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それは自由雨を拭いても泣き顔を隠してもいいタオルは自由

竜巻のように林檎を剥きながら母がとめどなくこぼす愚痴

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別れても私は私として残る全てで愛したなんてまぼろし

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神様の嬉ションみたいに降る桜

好きだから弱くなりたい寒椿

コンポタの缶を振る振るもう来ない

アロエ咲くささくれながら生きてやる

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