2021 空空蝉蝉
団地にはいろんな人が住んでいて住んでないはずの人も住んでる
右耳に君の寝息をためておく次会えるまでちびちび使う
夏の蝉鳴いて鳴いて鳴いておまえたち愛のためだけに生きれていいね
涙ばかり落として吸わせてふやかして畳の色をなくした畳
夢を見て笑ったことを覚えてる海馬よ1度謝ってくれ
かすみ草萎れて枯れてかすみ草まだかすみ草忘れていいよ
海のない町に住もうと君が言う潮の香りのする心臓で
淋しさはレタスの食感だと思う飲み込むまでは少しうるさい
誰も殴ったことのない指のまままさぐる力のないわたしたち
蔦に蔓、きみがわたしがどちらでもちぎれないほど絡まれからだ
にんげんはこんなにひかるものですかあなたの髪が陽に溢れてる
飛びたくはないの一緒に落ちたいの最後の顔を見せてください
好きなだけ忘れていいよ嫌うのは難しいから見送りましょう
ベランダはもう下界です髪ゴムを拾って最後に渡してくれた
うまれかわりなんて信じないひとだからなんど咲いても朝顔は青
万能は遠いみたいでロキソニン何箱消費しても痛む胸
髪の毛も残していってくれなくて汗の匂いもまぼろしになる