モモコをめぐる冒険
ロリータ界隈で「ももこ」と言えば下妻物語の主人公・竜ヶ崎桃子か茨城県つくば市にあるレストラン・モモコハウスかのどちらかである。偶然なのかわからないがどちらも茨城県が舞台である。
下妻物語は中学生の時にケーブルテレビで見たのが最初で、竜ヶ崎桃子を演じる深田恭子の着るBABY,THE STARS SHINE BRIGHTのお洋服に胸をときめかせ、毎日のように通販サイトに入り浸っていた。
ロリータ服は、まるで自分がリカちゃん人形になったかのような気分になれるから好き。フリフリしながら街中で目立つところも好き。「変なの」って後ろ指さされてもかまわない。私が変なのは事実だから。
モモコハウスの存在を知ったのは1年くらい前で、ちょうどピンク色のエプロンが欲しいと思っていたところだったのでメルカリのモモコハウスショップでお迎えした。
今年の3月頃、仲のいい絵描きの友達と実店舗のモモコハウスへ行った。もちろんモモコハウスのエプロンを着ていった。店員さんもみんなモモコハウスのエプロンをつけていた。
BABY,THE STARS SHINE BRIGHTは「お姫様」、Innocent Worldは「お嬢様」、MILKやEmily Temple Cuteは「美少女」、Angelic Prettyは「魔法少女」というのが私のイメージである。
私はお嬢様であるとは全く思わないからイノワはほとんど着ないが、お姫様であり魔法少女というマインドがあるからBABY,とAPを積極的に着ていきたい。いい歳して美少女という自負も勝手ながら少しだけあるので、たまにMILKやエミキュも着る。別にこれらは私の勝手なイメージなので、当てはまらないと着てはいけないとかそういう話ではない。
お姫様だと自称したい人間は老若男女問わず自称していいと思っている。そこに条件や資格はいらない。私は自分がお姫様だとは思うけど、周りから実際にお姫様扱いされたいとか、姫と呼ばれたいとか、そういうのは全くない。むしろいらない。普通の人間扱いされたい。でも、実際のお姫様のように気高くありたいので、お姫様だと思うようにしている。
下妻物語の竜ヶ崎桃子も、実際にはお姫様とは程遠い環境で育ったが、それでも「ロココの精神」で生きていた。それをイチゴとの出会いがある意味ぶち壊したように見えるのだが、私にはクライマックスで原付を飛ばし泥まみれ血まみれになってまで初めてできた友達・イチゴを助けに行くところが一番気高い行動だと思ってしまう。
本物のお姫様なら権力でなんとかするとか側近に代わりにやらせるとかもっと他のやり方があるはず。それでも自分が刺した刺繍を喜んでもらえてから人間らしい感情にやっと目覚め、お姫様ではなく1人の女の子として友達を助けに行くなら、やはり自分の力づくで強行突破すると思う。
つまり「自分はお姫様だから自分さえ良ければいい」という段階から「お姫様じゃなくて1人の女の子として見てもらいたい」と自我が目覚め出し、自分から動き出すところにお姫様をお姫様たらしめるものがあるんじゃないかと、私は考えるのだ。
モモコハウスのエプロンは、ロリータ要素もありつつ、エプロンであることが、お姫様だけどちゃんと料理もしますよという、そういうバランスを感じられて、とても良いと思うのだった。