第95回選抜 第7日 結果と2回戦終了時の所感
沖縄尚学
00200 1000=3
00000 0010=1
クラーク国際
(沖)東恩納-知花
(ク)新岡-麻原
東邦
00021 1011=6
01000 0200=3
高松商
(東)山北、岡本-南出
(高)大室-佐藤颯
[本]岡本(東)
公式戦初先発の東邦山北が6回1失点の好投。エース宮國が登板しなかったが、中盤以降着実に得点を重ねた東邦が競り勝った。高松商も9安打とチャンスを作ったが好守に阻まれる場面が多く、東邦は12安打中長打が7本、チャンスを確実に得点につなげていった。
作新学院
01000 0242=9
10000 3040=8
英明
(作)川又、磯、市川、磯、小川、福冨-草野、豊田、岩出
(英)寿賀、下村、百々-中浦
[本]百々(英)、武藤(作)
この試合から3回戦。
試合は終盤に大きく動いた。8回表、作新学院は先頭の磯が安打で出塁すると、英明は寿賀に代えてエースの下村がマウンドへ。初戦を見て対策ができていたと思われる作新学院は下村を攻め、この回一挙4点で3点を勝ち越す。英明の継投策は失敗したかに見えた。しかし英明は直後の8回裏1点を返し、さらに走者二人を置いて3番百々が右翼ポール際に本塁打を打ち込んで逆転する。下村に代打を出していた英明は百々が最終回のマウンドへ。すると作新学院は9回表、走者一人を置いて武藤が再び逆転の本塁打を左中間に放り込んだ。9回裏英明は作新学院の延べ5人目の投手小川から一死二塁のチャンスを作ると、作新学院はさらに投手を福冨に交代。ベンチ入り18人全員を起用した作新学院が最終回を無失点に凌いで逃げ切り、8強一番乗り。
作新学院は、先発の川又に2回の打席で代打を送り、2度マウンドに上がった磯は計115球を投げるなど総力で戦った。英明も打線のつながりで流れを取り戻す力強さを見せた。
作新学院はGフレア、英明は全開Honda、両校ブラスバンドによるチャンステーマが印象的な熱いゲームとなった。
2回戦からは不利?
今大会は記念大会のため通常より4校多い36校が出場。32校であれば全校が1回戦からの登場となるが、36校の今回は4校が1回戦を勝利した学校と初戦で対戦するという形になった。
春は秋の公式戦から一冬越えて実戦から遠ざかっている。1回戦から登場の学校が2戦目を戦う時は、緊張感からも解放され実戦感覚も戻っている。単純に1勝する力も持っている。そういう学校を、開幕してからも6日や7日待たされた上で相手にするのは相当に不利であると思われる。今大会も1回戦勝利校を初戦の相手とした4校、氷見、履正社、クラーク国際、高松商はいずれも初戦敗退となった。
夏の選手権の場合は出場校が奇数の49校なので1校がその形になってしまうのは仕方がない(出場校数を偶数に変えるという話が出るなら別だが)。しかし36校の場合は偶数なのだから、やろうと思えば初戦は平等に初戦同士のトーナメントにできる。そのように改善した方が良いように思う。
1回戦からの登場というのは、優勝を目指すにあたっては試合数が多くなって不利かもしれないが、より不利なのはその勝利校を2回戦(初戦)で迎え撃つ学校である。実際選手としては不利な状況で試合をさせられるより、平等な状態で1試合でも多く試合ができる方が嬉しいのではないかと思うがどうだろうか。
大差がつかない大会
高松商の登場で、今大会出場36校が全て初戦を終えた。
気になったのが、接戦が多いという事。どの試合も実力拮抗で好ゲームが多く見られた。2回戦までの20試合のうち二桁得点を記録した学校がなく、作新学院の8点(8-6大分商)が最高。点差も広陵5-0二松学舎大付、報徳学園7-2健大高崎の5点差が最大である。某最弱スレ民泣かせの大会であった。
強力打線の優勝候補が初出場の21世紀枠との対戦、というようなカードがもともとなかったからというのもある。
本塁打も少ない
今日の東邦の1本を含めて、2回戦までの20試合で僅か2本だけ。これは昨年も同様の傾向で、初戦で1本、2回戦まででも3本しかなかった。
昨年は準々決勝以降、大阪桐蔭(11本)が打ちまくって計18本となったが、今年はどうだろうか。今日の第3試合の3回戦でいきなり2本出たので、打撃感覚と投手疲労のバランスから今後それなりに増えてくると思われるが、もしかしたら今年の世代も感染症対策による練習不足の影響が残っているのかもしれない。
守備面は悪くない
昨年は感染症リスクのため対外試合ができなかった影響が一因で、全体的に守備のレベルの低さが垣間見られた。本塁打が少ないのも実戦での球を打つ機会が少なかった事が一因と考えられる。今年はどの学校も試合数の多少はあれど対外試合を行ってきており、守備面に関しては高いレベルの学校もあり、守備崩壊となってしまうような場面はなかったと思う。
21世紀枠は22連敗
21世紀枠で出場の3校、石橋、城東、氷見はいずれも初戦敗退となった。これで一般枠校に対しては22連敗となった。15年の松山東以降、21世紀枠同士の対戦を除けば勝利から遠ざかっている。
今回、氷見は秋の富山大会の優勝校で北信越大会でも1勝している学校だった。ただ、2回戦からの登場で相手は初戦を勝ってきた山梨学院という籤の不運もあったように思う。石橋、城東も敗れはしたが、例年と比べると点差もつかず健闘したと言える。
全体的に設備が整った強豪私学が出場の多くを占めるようになりつつある選抜大会の中で、21世紀枠の候補となりうる学校は当然年々減っていく(一度選ばれたら今後対象にならないし、実力で初出場や復活出場しても以降は対象から外れる)。なので一般枠との対戦で勝つことは年々難しくなっていくのは当然ではあるが、しかし夏の大会(選手権予選)や秋の大会での基準で、甲子園出場まであと1勝足りない、くらいの高校を救済して選出することは、個人的な意見としては賛成で、意味があるものと感じている。ただし、秋の県大会8強でその時の対戦相手も選抜に出ない、という成績の学校を出すのは賛成しない。どうしても相応しい学校がない場合は該当なしとして一般枠に枠を差し戻すくらいの柔軟性があれば理想的だと思う。
夏と違って春は1県から2校出場する事も可能である。どうしても選手層が苦しい学校が、少し実力で劣ったとしても全国レベルの強豪校と甲子園で対戦し、その力を身をもって実感する事はたとえスコアでは惨敗したとしても無意味ではないと思う。