【第105回選手権】第3日の展望
第3日の展望
花巻東(岩手)-宇部鴻城(山口)
高校通算140本塁打の佐々木麟に注目が集まる花巻東。佐々木は岩手大会では長打はなく、.333で2打点。チームとしても打撃面では昨年のチームほどの破壊力は感じないが、小松投手は15回2/3で被安打6、奪三振26で無失点。守備も5試合で1失策とディフェンス面が堅い。これが全国レベルの相手にどこまで通用するか。花巻東はこのところ甲子園では3大会連続で初戦敗退と結果が出ていない。
宇部鴻城は浅田投手が22回を投げて被安打11、失点1と好投した。1番を打つ主将の大川が打率.158と不振だったのが気になるが、中軸は長打は少ないものの当たっていた。
花巻東は3度初戦敗退が続いているものの岩手勢としてはこのところかなり初戦の勝率が高い。対する山口勢も、昨夏は下関国際が決勝まで勝ち進んだようにいろんな学校が初戦を突破してくる。好調県同士、好ゲームを期待できそう。
前橋商(群馬)-クラーク国際(北北海道)
13年ぶり前橋商は前評判は高くなかったが、攻撃力で6試合中5試合で逆転勝利。前橋育英、樹徳、桐生第一など近年の甲子園出場校との対戦が続く厳しいブロックで、チーム打率は.395、4本塁打と強力。坂部投手は31回を投げて10失点。対戦相手を考慮するとそれほど悪くは見えない。
クラーク国際は春夏連続出場。決勝(旭川明成戦)は1-0、準々決勝(帯広農戦)も11-10と難しい試合もあったが競り勝った。その帯広農戦での3者連続本塁打を含む計5本塁打を記録。新岡投手は38回1/3を投げて被安打39ながら奪三振は46。打線でも3番に入る新岡が投打の柱。
新岡投手の投球内容に波がある感じだが、投打に活躍できれば久々の北北海道勢の勝利、学校としての甲子園初勝利が見えてくる。しかし予選の対戦相手のレベルを考えると、今年の前橋商打線は久々の群馬勢夏勝利を引き寄せる力がありそう。
日大山形(山形)-おかやま山陽(岡山)
日大山形はエース菅井が5試合で33回を投げて被安打33、失点9。佐々木朗希投手のような足を高く上げるフォームから最速147キロ、被安打の割に失点が少ない。5試合でチーム打率.322、3本塁打で、決勝では山形中央の好左腕・武田を攻略している。
おかやま山陽は序盤から好投手との対戦が続き、長打は少なかったがチーム打率は.340。井川、三浦、三宅の3投手がそれぞれ12回前後を投げており、ほぼ同じくらいの成績。なかなかデータだけでは特徴が分かりにくいチーム。
創立100周年を、初の甲子園勝利で飾りたいおかやま山陽だが、日大山形の菅井投手をどう攻略するか。山形勢はこのところ好調で日大山形も2021年に2勝しているが、今年のチームは2年生が多いのが気になるところ。3年生の底力が差となるかもしれない。
大垣日大(岐阜)-近江(滋賀)
関ヶ原を挟んだ隣県対決。大垣日大は春夏連続出場、エース山田投手が29回2/3を投げて被安打22、奪三振28。チーム打率は.315だが、7本塁打と一発がある。特に1番の高川が3本塁打、4番の高橋(阪口監督の孫)が6試合で10安打10打点と当たった。盗塁が18と多いのも特徴。
近江は5大会連続の夏。2021年夏から3季連続で計12勝をあげ、大阪桐蔭、仙台育英と並んで令和勝利数は全国1位。チーム打率.435と非常に高いが長打は少ない。昨年の山田投手のようなエースは不在だが、4投手がそれぞれ3試合ずつ登板している。
どちらも甲子園での経験があり、監督も経験豊富なベテラン同士。予選のデータ比較では打力で大垣日大がやや上のように感じるが、近江は調子の波、チーム状態がこの夏に合わせて上昇しているようにも感じる。