【警察エッセイ】カナヅチポリス
ハイどうもぉ。
皆さんの心の中の25メートルプール。
元警察官の花山烏一です。
皆さん、泳いでいますかい？
『そう言えばもう何年も泳いでねぇよ、この野郎。』というツッコミは置いておいて、比喩じゃなくてホントに溶けそうになったアタオカな夏の暑さも少しずつ緩和されていっている今日この頃だけども、まだまだ海や川で泳いでいる夏に取り残された人達もいるかと思う。
花山はもう何年も海や川には行ってなくて、というか、近付いてすらないんだけども、その理由は単純明快。
カナヅチだから。
自分でもドン引きするくらい泳げないんよね。
どれくらい泳げないかというと、クロールでギリギリ25メートルが泳げるくらいのレベル。それも、フォームはめちゃくちゃでほぼ息継ぎせずにゴリ押しで泳ぎ切る感じ。だから、学生時代の体育のプールの時間がとにかく大嫌いで、キモいかもしれんけども、生理でプールを休める女子が羨ましくて仕方なかったくらいプールの時間が嫌だったのね。
水泳ってちょっと運動能力が劣っている子達でもそこそこ泳げたりするじゃない。でも、花山は陸上ではそれなりに運動能力が高い生物だったんだけども、一度水中に入ったら戦闘力がたったの5のゴミになるくらい泳げなかったんよ。
嫌で嫌で仕方なくて第二次イヤイヤ期が訪れていたんだけども、高校を卒業して大学生になってようやく水泳から解き放たれてからはすこぶる気分が爽快だったね。
ただ、そんな爽快タイムもとあるタイミングで崩れ去るんよ。
それは警察学校時代。
■カナヅチポリス
晴れて警察官採用試験に合格すると現代の軟禁施設でお馴染みの警察学校に入学する事になるんよ。
過去に警察学校について説明している記事がちょいちょいあって、警察学校は『学校』という名前は付いているけども、高校や大学の様な学舎的な学校じゃなくて、職業訓練校としての学校なんよね。だから、校内の環境はまぁまぁ厳しい。いや、まぁまぁなんてモンじゃない。すこぶる厳しいんよね。それは、警察学校の学生でありながら給料を貰って勉強するモンだからなんよね。
警察学校内の授業は基本的に警察業務に関する座学であったり、柔道や剣道といった武術、それに警察独自の訓練をしたりするといったすこぶる厳しい環境であるのは間違いないんだけども、カリキュラムの中に『体育』という皆さんも聞き馴染みのあるモノもあったりするのね。
『警察学校の学生でありながら、我々の血税を搾取しているのに体育なんてお遊びをしているなんてけしからん。』と思われた方。この体育の時間こそ花山には地獄の様な時間だったのね。というのも、体育といってもやるのはただ一つ。そう、水泳オンリー。
警察学校の授業は一コマだいたい90分くらいあるんだけども、90分間ひたすら泳ぎ続けるのね。ワイワイキャッキャッ泳ぐ時間なんて1秒もないんよ。
何より一番花山にダメージを与えたのが水泳キャップ。
警察学校入校前の事前説明会で水泳の時間がある事を知ったんだけども、その項目の説明を資料を見ながら聞いている時に不吉な文章を見つけたのね。
『帽子の色は白色とする。ただし、泳げない者は赤色の帽子を用意する事。』
ゆとり教育にどっぷり浸かり全員が横一線でゴールする事が良しとされていた花山達のゆとり世代にとって、目を背けたくなる様な差別的表現。犯罪を取り締まる組織が率先して差別をするとは何ごとかと思ったけども、どんなに憤ったところで泳げないのは事実。花山は恥ずかしくてプライベートじゃ絶対買わない赤色の水泳帽を買って警察学校へと乗り込んだのね。
そして、ついに赤帽を被る時が訪れるのよ。
花山を含めて赤帽は3名。一クラス40名弱の中で、たった3名しかいない赤帽は目立ちたくなくても目立つ存在。そんな獲物がいたらハンター達から真っ先に狙われて当然。泳げない者を擁護する為に敢えて差別していたと思っていた赤帽は標的を見つけやすくする為の罠だったのね。
そんな中、罵倒されながらも必死に泳ぐ花山。なんとかプールサイドに着いても待ち受けるのは悪魔達。上がろうとするところを蹴り飛ばされて再びプールへとダイブ。
苦しくて仕方なかった警察学校の生活において、更なる苦行が花山には課されたんよね。
■まとめ
海や川で泳いで遊んでいる人を見るとホントに羨ましいなと思う。
冗談抜きでホントに花山は泳げないから海や川へ行く事を拒否し続けているんよね。というか、花山みたいなカナヅチが行ったら水難事故になりかねないから、余程の事がなければ行かない様にしてる。
ぜひとも来世では自由気ままに泳げる人生になる事を願って、今日も今日とて陸地で頑張る次第。
今回は以上となります。
記事のサポートをしていただけますと今後の活動の原動力になりますので何卒よろしくお願いします。
コメント欄に感想•質問をしていただけると嬉しいです。
そんじゃ待ったねぇ。
いいなと思ったら応援しよう！
