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Photo by
boteneko
『3.3グラム程度の勇気』ー詩ー
必要がなくなっても
捨てられないものがある
「そんな時はね
ハサミで切ればいいのよ」
お姉さんはそう教えてくれた
チョキチョキという
可愛らしい音などしない
ハサミもためらっているのだ
あの時、あの人のために買った服も
あの時、あなたのために結んだ約束も
あの時、堪えた悲しみも
何故うつむくのか
垂れ桜のようにたれた頭(こうべ)
「勿体ないって思っていると
いつまで経っても捨てることはできないわよ」
そうお姉さんは付け加えた
ずるい自分の一面を知る
切ってしまったらどうなるだろう
抱えているものは減るだろうか
減らしたものを埋めるだけの幸せを
手に入れることはできるだろうか
諦めずにいれば
いつか太陽はこちらに気づく
そうして生きてきた
人の影に踏まれながら
角砂糖程度の3.3グラムの勇気を手に
不規則に響くハサミの音
少し綻んできた心を
不器用な手つきで真っ直ぐ
縫い合わせる午前4時
✴︎✴︎✴︎
この詩を書いたきっかけは、尊敬する女性の上司のご自宅に招かれた時に、スーツの数の話しになって、“着なくなったスーツはなかなか捨てられないからハサミで切れば諦めもついて捨てられる“と言った言葉を思い出したからなんです。
本当に素敵な女性、賢くて綺麗で女性としての可愛らしさも兼ね備えていて…。憧れの方でした。
角砂糖の重さっておそよ3.3gなんですって。それを口に含んで珈琲飲むのも好きなcofumiです。🤭
#詩 #poetry #lyric
#私の作品紹介
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