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オフィーリアの面影

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美術・音楽・映画その他、感想評論ごった煮
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#美術鑑賞

闇系彼氏に首ったけ-ちょっとした悲劇と美術試論-

恋は突然に20XX年1月8日、AM5:25。 画面が完全にブラックアウトしたノートパソコンの前で、私の頭は真っ白になっていた。 神様。 確かに私は、この『彼氏』様と、2年間別れたいと言い続けてきました。 歴史に名を残すメンヘラで、サイコパスで、クッッッッッソきまじめで、超病み系すぎる『彼氏』様と、別れたいと願ってきましたよ、ええ。ええ。そりゃあもうツイッターのタイムラインを毎日「もうむり」「つらい」「逃げたい」といったワードの連続で荒らしまわるくらい、切望してきましたとも

オルソン・ハウスの物語

 毎日、形にならない言葉を山ほど積み上げている。文章とも呼べない代物だ。後日下書きを読み返して「なんの話だっけ」と考える。  悩みすぎて行き詰まったので、新潟市美術館で開催していた「アンドリュー・ワイエス展」へ行ってきた。  会期末が近づくにつれ、行きたいとは思いつつ、腰が上がらなかったのだけど、なにも考えたくないと休日の午前中をだらだらと過ごしたあと、シャワーを浴びているそのときに「いや、いま行こう」とひらめいた。  いまはもう遠い、クリスティーナとアルヴァロの生活を描

「少女漫画は顔だけ」の真髄

「少女漫画は顔だけ」とよく言われる。 確かに、俗に言う少年漫画に比べると、緻密な背景、身体描写や、怒濤の台詞回しはないし、やたらと瞳のアップが多い。雰囲気をさまざまなトーンで表現するのは定石だろう。そして、物語の展開よりは登場人物の関係性に重きが置かれるので、ナレーションのような第三者視点から見る語りより、内面の独白表現がきわめて大事なものになっている。 で、冒頭の言説は主に否定的なニュアンスで用いられることが多いけど、私からすると「え? それがいいんじゃん?? だめなの

あなたはどう鑑賞する?(導線編)

最近の美術館は、自由導線の傾向が高まってきているのかな? と思ったのでそのことの覚え書き。 PIXARのひみつ展で体験したスーパー自由導線新潟県立近代美術館で開催中の「PIXARのひみつ展 いのちを生みだすサイエンス」(~11/24)へ行ってきた。ざっくり言うと、PIXARのアニメーションがどうやってできあがっているのか、を、工程ごとにブースを作って体験型で見せていく展覧会だった。とても楽しかった。 最初に「PIXARとPIXARのアニメーションとは?」というプレゼンテー