休日は、ココちゃんとトトさんと公園へ 〜カカさん編〜NO4
公園に行くと保育園のお友達がいた。
「あの子がニコちゃんだよ。ほら、洗濯物が入れ違ってて、先生が謝りの電話してきたことあったでしょ。あの子のだよ。で、横にいるオレンジ色のTシャツのちょっと派手目な人がお母さん」
“ここ“と“にこ“が似ていて、よく間違えられるらしい。洋服全然違うのにね。
私の知らない保育園事情を、トトさんはよく知っている。そりゃーそうだ。
送迎はほとんどトトさんだもん。
「こんにちは〜ニコちゃん」お母さんにも「こんにちは」と会釈するトトさん。
私も「こんにちは。ココの母です。」ちょっと緊張しちゃって、変な声になっちゃった。
「（こんにち）わー」ぺこり。きゃ♡ニコちゃんかわいぃ。
ココちゃんより少し背が低くて、まんまるのお顔。目が大きくクリックリ。お母さん似？なのかなぁ。
髪の毛はフワッフワしていて、結ぶには難しい長さだ。お母さんとお揃いのオレンジ色のTシャツがよく似合う。
「トトさん わー（こんにちは）」「トトさん（多分ココちゃんと言っている）わー（こんにちは）」だって。かわぃぃーっ。
「ニコちゃん こんにちは」しゃがんで、にこちゃんと目線を合わせ、にっこり笑うと、さっとお母さんの後ろに隠れてしまった。
「何〜？恥ずかしいん？こんにちはーやろ、こんにちはーって、言えるやろ」
後ろに隠れたニコちゃんを前に出そうと、お母さんが引っ張るたびに、
ニコちゃんの顔から笑顔が消え、「いやいや」って・・・。あぁ、あの、泣いちゃいそう。
いいですぅ。大丈夫ですから…。
あんまり人見知りされることがないだけに、ちょっとショック。
「せっかくママ友ってやつができるチャンスかなと思ったのになぁ」って、トトさんに言うと、
「カカさんとは気が合わないんじゃない？」だって。
ニコちゃんママのこと、そんなによ〜〜〜〜〜〜くご存じなんだ。ほぉ〜〜〜。
わかんないじゃんねぇ。めちゃくちゃ気が合っちゃうかもしれないのに。
公園内をぐるっと一周しながら、仕事のことや、
昨日見かけた猫のこと、ココちゃんの寝顔のこと、それから
手相のことなんかを話していたら、さっきの砂場に戻ってきた。
まだニコちゃんが遊んでいた。
「にこちゃ〜ん あーそーぼー」ココちゃんが砂場に走って行ってしまった。
「いいよ、俺、ココちゃん見てるから洗濯干しておいでよ。」
なんでよ、なんでよ、なにさ、なんダァーッ。
「いいよ、俺が見ててあげるから」だとぉ？「洗濯干しておいでよ」だとぉ？
トトさんが行ってくれるとか、ココちゃんにもう帰るんだよとかじゃないわけ？
ニコちゃんママがいるからだとかぁぁ？クソォークソォーっ
イライラしながら家まで帰る。なんでか悔しくって涙が出そうになる。
みんな大嫌い！
トトさんのおパンツを干す。朝の出来事を思い出す。
体からメラメラ出ていた勢いが消え、力が出なくなる。
しょんぼりだ・・・。
段ボールの中のナスを冷蔵庫に入れる。ゴーヤも入ってたんだ。
あ、ローズマリーの小枝。『庭のローズマリー 懐かしい香りでしょう』
小枝は広告の裏に書かれたメッセージと一緒にジプロックに入れられていた。
袋を開けると、ローズマリーの香りがたちあがり、実家の庭で遊んだ子どもの頃に記憶が蘇る。
しばらく香りを嗅いでいると、涙が溢れ、いっぱい泣いた。
子どもの時みたいに。
アロマの力はすごい。
いっぱい泣いたから浄化されたのもあるだろうけど、心が晴れていくのがわかる。
“茄子と鶏肉の梅煮“が食べたい。
野菜嫌いだった私は、お母さんが作るこの料理を食べて、ナスが大好きになった。
懐かしい香りが楽しかった記憶をひっぱり出してくれたのかもね。晩御飯はこれにしよう。
鏡を見て、涙を拭く。
オレンジ色のTシャツより、私は赤が似合う。そして、シンプルなピアスが好きだ。
ネイルをしていない手で髪を少しとかし、こないだ多めに作って冷凍していた唐揚げがあることを思い出す。
唐揚げと、素揚げしたナスを梅干し入りの醤油だしでさっと煮るだけだから、
冷凍唐揚げがあると便利なんだよね。
公園に戻ろう。ココちゃんとトトさんのところに。
鏡を見て、笑顔を作ってみる。泣いたことはバレない。いい笑顔だ。
私は私だ。
ローズマリーの小枝を、今朝食べたヨーグルトの空き容器にさして、「ありがと」
お礼を言った。
急いで玄関に向かう。玄関のドアを開けると、下から「カカさぁ〜〜〜ん」と、ココちゃんの声が聞こえた。手には真っ赤なトマトを持っている。「ニコちゃんどーぞしたぁ（ニコちゃんにもらった）」
「ニコちゃん、まだ公園にいるの？お礼にナスをお裾分けしたいんだけどぉ」上から叫ぶ。
「お！いいね！俺、チャリで届けてきてあげるよ。」
・・・
トトさんはお昼ご飯の用意してて。ったくもぉ！
読んでくださってありがとうございます。
いろいろあった午前中。さて、お昼ご飯はなんでしょう。
トトさんのお話はこちら
また来週！
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか？