見出し画像

ココちゃんとトトとカカ #22 生まれ変わったら

《これはトトさんと、私カカさん。そしてココちゃん2歳の暮らしのお話》

「生まれ変わったら、どんな職業に就きたい?」
昨夜の残りご飯を詰め込んだお弁当を広げ、大きなおにぎりを
頬張ろうといた時、向かいに座っていたチカが目をくりくりさせて聞いてきた。
くりくりかな、ぱちくりの方が合ってるかも。
「職業?んー。生まれ変わってみないとわかんない」と答え、
トトさんスペシャル唐揚げにお箸をのばす。
「ちゃんと考えてよ。この仕事につかなかったら何してた?とかさ」
正直、考えたことがなかったし、唐揚げを存分に味わいたくて、
「チカは?」と聞いてみた。
「私?そうだなぁ、声優とか!」といって、
アニメのキャラクターの真似をしてみせた。
あまりにも似ていて、モノマネ芸人になったら?なんて、大笑いをしていたら、
「楽しそうじゃない?なんの話?」ほなみさんがコーヒー片手に微笑んだ。
隣の椅子を少し引いて「どうぞ」と軽く頭を下げる。
「ほなみさんは、生まれ変わったら、どんな職業に就きたかったですか?」
少し前のめりで聞くチカ。
「生まれ変わったら?そうだなぁ。ネイリストとか、メイクアップアーチストとかかな」と答えて、コーヒーを一口飲んだ。
「ほなみさん、いつも可愛いネイルしてますもんね!!」と、チカ。
「カカさんは?」と聞かれ、唐揚げを急いで口に突っ込んで、お茶を飲んだ。
「考えたことがなかったんですけど、ドルフィントレーナーとか」小さい声でつぶやいた。
「泳げないじゃん!」と、チカが笑う。
「生まれ変われないとできないことって考えたらそれかなと思っただけ」これは大声で。

大きな犬達と暮らし、羊や象とも友達。鳥たちが素敵な景色のあるところを教えてくれて、
海に行ったらイルカや魚たちと話ができる人になりたい。
それに、スポーツ万能で、海の中でイルカたちと思いっきり遊ぶことが
心底楽しい!!と思える人になりたい。

-----動物が大好きなのにコワイの。さわれない。

帰りの電車に揺られながら昼間の話を思い出した。
チカの“生まれ変わったら”も、ほなみさんの“生まれ変わったら”も、SNSが自由なこの時代だからこそ、似たようなことは今からでもできるじゃんって。
ね、思わない?
ドルフィントレーナーを検索してみると、イルカと心をかよわせる様子とは別の、イルカのかわいそうな実態が出てきた。
そんなんじゃーないんだよね。
私はモアナみたいに自然と話ができたり、動物と話がしたい。そんな能力者になりたいのかもなぁ。
そういえば、うちのお婆ちゃん、モアナみたいな人かも。笑

ココちゃんは猫が飼いたいらしい。猫好きのうちのお母さんは、そこらの猫達を統括していた。
私は実家の犬すら近寄れず、遠くから「怖い人じゃないからねー。動かないでよー」と
念を送りながら、寝転がってじろりとこっちをみていたエルの横をソロリソロリと通ったもんだ。
そんな私が猫と暮らす…。想像がつかなすぎる。

「ごはんうまいにゃー」

今日も猫らしい。

「おいしいワン!」

それならと、犬になってみた。

「お魚たべたいにゃー」
「それはオイラの魚だワン!」

キッチンにいたトトさんが「ほら、猫さんも犬さんも、ちゃんと食べなさい」といって、「ブー」と付け足した。

「ブタ?」と私
「おならやー!」とココちゃん
ブタになりきったのか、オナラだったのかは想像にお任せしとく。

その夜、お風呂でココちゃんに猫が飼いたいと言われたんだと、ちょっと困り顔でトトさんが相談してきた。
「知ってるよ、でも、猫はダメかな。食事のテーブルに乗られるのがイヤだワン」と答えた。
「何?犬?」
「犬かな」と笑った。ますます困り顔になったトトさん。

そっか、この手があったか!私、生まれ変わらなくてもなれるかも♪
動物と友達に。


何歳からでも遅くない!とはいえ、できないものはできない。笑!生まれ変わったら何が得意になりたいですか?寝る前にそんな妄想を楽しむ時間が好きです。

いいなと思ったら応援しよう!