小人がやってくるクリスマス〜カカさん編〜♯12
親友のえみりが話したいと言うから、打ち合わせ終わりにいつものカフェで待ち合わせ。
少し早めに着いたから先にある花屋まで行ってみることにした。
中央口の広場には光を放つ飾りが美しい大きなツリーがあって、
真ん中に2匹のくまがプレゼントに囲まれてにっこり笑っている。
天井を見ると、大きなソリからサンタクロースが手を振っていた。
大人も子どももワクワクする空間がここに広がっている。
もみの木の緑と赤いリボン。ゴールドに白。クリスマスカラーに彩られて、別の空間へと変化させた技術者達とじっくり話がしてみたい。
そうそう、我が家のクリスマスツリーは、ローズマリーの木でね。
生の木だから、飾り付けはシンプルにしているの。触るとフワッと漂う香りが脳の奥まで届く。
大人になったココちゃんは、ローズマリーの香りを嗅ぐと、トトさんの鶏料理を思い出すか、
クリスマスを思い出すかどっちだろう。
私のクリスマスの思い出はね、クリスマスの10日ぐらい前になると、小人から手紙とちょっとしたプレゼントが届くの。
消しゴムだったり、飴やチョコだったり、シールの時もあったな。
それはその年によっていろいろで、枕のところにあったりなかったり。
あれは小学生の時だったかな。その時は、枕に手紙しかなくてね、プレゼントがないのかと
ちょっとガッカリしたけど、実はその手紙がクイズでさ。
答えの場所を見に行くと、プチプレゼントが置いてあって、見つけた喜びと、今日は何かな?の楽しみとあって、あれは、うん、楽しかったなぁ。冷凍室からシャーペン見つけたのは忘れられない思い出よ。
クリスマスが来ると、これが終わっちゃうから寂しいし、でも、サンタさんが来て欲しいしと子どもながらに複雑だったんだよね。
中学生になっても、高校生になっても、こうやってクリスマスを楽しみに過ごしたの。
さすがに、中学生になった頃には、これはお母さんだなって思っていたけどね。
お友達にはサンタさんはいないのかもしれないけど、
あなたには、あなたのことを大切に大切に思い、見守り続けているあしながおじさんのような人がいるのよ。その人がサンタさん。
だから、どんなことがあっても、1人じゃない。
愛されていることを忘れちゃダメよ。
なんだって。
大人になってもね、「いいわねぇ、あなたにはサンタさんがいて」って、母は言うの。
20歳になってアドベントカードは届かなくなってしまったし、サンタさんの正体も、なんとなく誰だかも分かったけど、いつまでもサンタさんを信じていたいと思っているんだよね。
ココちゃんもそんな風に育てたいな。
花屋の入り口にある這性のローズマリーは、ハートの形にぐるっと誘導してあって、クリスマスカラーのリボンがついている。
そのままの方が美しいな…。そう思って、奥の飾りがついていないローズマリーを選んだ。
これは、お義母さんへのプレゼントに買っていくことにした。
こないだトトさんが作ったローズマリーの香りがする鶏料理が気に入ってレシピを効いてたからね。それに、最近、集中力がなくなったらしいから。笑
えみりの話は、ココちゃんのクリスマスプレゼントは何がいいか聞きたかったんだって。
もう、サプライズな話かと期待しちゃったじゃん。
えみりは3つぐらい、プレゼントの候補を考えてくれていて、嬉しそうにプレゼンしてくれた。
さすがプレゼンの女王!どれも魅力的で、私が欲しくなっちゃう。
他に予定があるからと、店を出てすぐに別れた。オシャレしていたから、彼氏でもできたのかと思ったけど、そうではなかったよ。バイバイと手を振りながら「トトさんにも聞いてみて」だって。
相変わらずえみりはトトさんより。
もうすぐクリスマス。
プレゼントを買う人たちで賑わう街を抜けたところでトトさんからLINEがきた。
「水炊きにするから、入れたいもの買っておいでよ。」って。
今夜は鍋か。
実家の鍋には鯖が入っていて、実はその鯖が大好きだったの。友達と鍋をした時、
「え?!!嫌だ!!生臭いじゃん!」と言われて、初めて知ったの。鍋といえば、鯖じゃないってことを。
でもね、好きなの。
そういえばトトさんには言ったことがなかったかも。鯖を買って帰ろっと。
急いで帰ろう。
ココちゃんへのアドベントカードを作ろう。