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story

「またね」といつもの調子で別れて、
何年かして、ふと気づく。
あれがきっと、私たちの最後だった。
もうきっと、この人生で、あの人に会う機会はないだろう。

もし最後だと分かっていたら
もっと熱い抱擁と、今までの感謝と、今後の成功を祈って別れたのに。
別れ際はいつも、またすぐ会えると思ってしまう。
いつもと変わらず「またね」って。

それぞれの人生の道は曲がりくねっていて
交わるのなんて、きっとほんの一瞬。
今は隣で笑っている君も
来年の夏には、もうここにはいなくなっているかもしれない。

だからこそ、この瞬間の1秒1秒が愛おしくて
もう2度と味わえないからこそ、噛み締める。

絶対に忘れないよ。
私は君を失うであろうこの先の人生で、何度も思い出すよ。
音がキラキラと溢れ出す中に、身を委ねて歌うことの心地よさ。
感情を全て解放できる唯一無二の場所。
隣にいてくれること、信頼できること、私を受け入れてくれること。
そんな場所があったこと。

今のすべてを閉じ込めたくて、約束を交わしても
きつく結んだはずのリボンは、時の風に解かれていく。
分かっているよ。分かっていたから、きっと結んだ。

苦くて美しい物語。
この道のずっと向こうで、きっと大事に抱きしめられる、そんな瞬間。
平成最後の夏に。
泣き笑いしながら作ろう。
別れ際の寂しさを抱えながら一緒に過ごそう。
きっとこれが最後だから。

またねって言える日が、一日でも長く続くように、祈って。

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