それだけ
まず身体からポロっと出てきたのは
「私が小さいとき、楽しむことや素直に表現すること、そのままの自分でいることに、たくさん制限と否定されて、どれだけ苦しかったかわかる?」
だった。
その後、堰が切れたかのごとく次々と
土砂のような荒々しい塊が溢れてくる。
「どんどん本音がわからなくなって、自分のこともわからなくなって、心も体も空っぽで虚しかった、その辛さがわかるの?」
「そのあと、自分で自分を癒せるようになるまで、どれだけ時間かかったか知ってる?何年も悩んで囚われてすごい苦しい思いしたの知ってた?」
「勝手に、私が大人になって物分かりが良くなったから、関係も良くなったと思ってるかもしれないけど、いま、それが出来るようになるまで、私がどんだけしんどい辛い想いで努力もしてきたかわかってるの?!」
いつのまにか
めちゃくちゃ泣いていた。
そうだ、私は、
子どもの頃に感じていたことだけじゃなく、
その後の道のりの苦しさを
ぶつけたかった。
でも、ぶつけたことなかった。
怒りの種は、子ども時代だけで終わっていると思っていた。
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その後、
ハートをオープンにして
ハートの真実から伝える、というワーク
最初は、ハートというのが
よくわからなかった
だからぎゅっとしていた拳を
心臓の上に置いて
ドクドクという感触を感じてみる。
ポロポロと声が出てきた。
「私の気持ちを否定しないで、最後まで丁寧に聞いて欲しい」
「賞状が1枚もなくても、自慢の子どもだよって言って欲しいんだよ」
「お父さんとケンカしてでも、味方でいて欲しい、守って欲しいよー」
それまで、ぐうっと前のめりに剣山の刃を向けるような怒り泣きから、
お腹のなかから泉のように静かにコポコポと湧いてくる涙に変わった。
まるで子どものときの私の身体に、
いまの私がシュルシュルと入り込んで
目の前のお母さんに
勇気を振り絞って
言っている感覚
そう、私は
そのままの私のそばに
ただ寄り添っていて欲しかった
否定もジャッジもせず
ただただ、ニコッと見守っていて欲しかった
それだけで良かった
それだけだった
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ふと、この静かに湧いてきた気持ちは
ずっと持ち続けていていいのかも、
と思った。
これまで、怒りを癒したり解消した方が
生きやすくなると思っていた。
だからそうなるように動いてきた。
だけど、それはなんだか
悟りでも得たような
いい子ちゃんになりたい
という気持ちも
混じっていたかもしれない。
私が子どもの頃に感じていたこと
そして今感じていることは
私だけの感情
だから
ずっとそれを
持っていてもいいのかも
山の木々をただただ眺めているような
静かな居心地