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東京銭湯巡り

子供の頃から銭湯が好きで、
大人になってもやっぱり銭湯が好きだ。

大田区 南雪谷 明神湯

大田区は銭湯の軒数が23区の中では上位に入る。リニューアルをして綺麗になった銭湯もあれば昔ながらの “THE銭湯” も未だ現役で頑張っている。

少し話が飛ぶが、今年の6月末で足立区のキングオブ銭湯と言われる大黒湯がオーナー夫妻の高齢化、建物の老朽化を理由に廃業してしまった。

キングオブ銭湯というだけあって、外観の宮造りは圧巻の一言。何とか最終営業日前には訪れる事が出来た。確かに所々傷んだ箇所はあるものの、廃業という二文字が頭から離れず、お湯に浸かって出る ハァ〜 にも 若干の悔しさが混じっていた。

さて、明神湯に戻ろう。

大黒湯にも負けない立派な宮造り、煙突の明神湯の文字が上手く構図に収まるが、何パターンでも撮っていたくなる。

男女入口で別れる昔ながらの番台には物腰の柔らかそうな女性が座っていた。

恒例の銭湯お遍路スタンプノートに判を押してもらうとその女性は丁寧に「実は今スタンプラリーで3箇所の銭湯で〜」と台紙を手に説明してくれた。

僕は「それ、もう3箇所廻ったんですよ」と判を押してある台紙を見てもらったが、確実に顔はドヤっていた筈だ。

実はこういう自分が嫌いになれないんだが、何か問題でも?

木目の美しい高い天井、入浴の心得には昭和二十七年の文字。刻まれた歴史にお辞儀をしたくなる。(※柳沢慎吾さんが高校野球のマネをする際の帽子を脱ぐお辞儀、それと同じ感じで)

では浴場へ

先ず、感じたのが浴場内の奥行きが意外に狭く
ちょっと可愛く思えてしまう。

左右の壁にはカランが5基と6基、中央の島は4X4で計19基。この数で奥行きの想像がつくあなたは相当な銭湯通。

2017年に塗り替えられた立派なペンキ絵。
奥の壁だけではなく、右の壁にも絵が続く珍しものだ。

浴槽は3種類。泡風呂、バイブラ、薬湯(その日はしょうが湯)なのだが、この泡風呂、かなりいい仕事をしてくれる。

文化浴泉さんのnano湯の様にミクロな泡ではなく明神湯さんのそれは波打際を再現した様に泡の粒が大きく湯面全体を覆い尽くす。東映映画が始まる前の波ザッパ〜ン
と言えば伝わるだろうか?

浴場内を照らす蛍光灯、よく見ると若干傾斜があるのだが、水はけの関係で床の傾斜に合わせているのかもしれない。
「だったらカランも傾斜が必要なのか?」
そんな事を湯船に浸かりながら考えるのも、楽しいひと時。

改めてペンキ絵を眺めると、日付の上には西伊豆の文字。どこから見た富士山なのか、それ目的に銭湯を巡るのも面白そうだ。

次にペンキ絵の下にある広告に目がいく。
平仮名で ひだまり と書かれた店名、上にはカフェと○○の文字にマグカップのイラスト。

カフェと○○の○○、何が書かれているか気になり得意の小松政夫式視力改善法でめいいっぱい広げて見たがその組み合わせは想像できなかった。

浴槽の温度計は調子が悪いのか、針が指す温度と体感温度は異なる。まあ、それでもいいじゃないか。細かい事は抜きにして、しばし波打際で楽しませてもらおう。

身体も十分温まり、脱衣所へ。

縁側ではラベンダーの蚊取り線香が優しく香る。一々、御洒落なんだよな。

宮造りの銭湯、その数は減る一方。
それでも修繕を繰り返し、営業を続ける経営者の皆様本当に頭が下がります。

暖簾をくぐって外に出た僕は、そっと振り返り小さくお辞儀をした。

(※柳沢慎吾さんが高校野球の〜以下同文)

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