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【ニーアオートマタファンアート】君と最後の花火を(前編)

*このファンアートには、アニメニーアオートマタ21話以降のネタバレが含まれます。


「私、平和になったら花火師になりたいんだよね」
リリィは突然のカミングアウトに驚きつつも、銃を構えた態勢を崩さない。目の前には数体の機械生命体が押し寄せてきていた。何発もの銃声の合間の会話だった。
「ジャッカス、戦闘に集中してくれ」
「このぐらい慣れたもんでしょ~?」
ジャッカスも、軽口を叩きながら銃を連射する。そして慣れた様子で次の弾を込める。
「それで、ハナビシと言うのは?」
「時々遊園地廃墟で上がってる、炎の花、あれが花火」
「あの黄色だか赤のか?」
「そうそう。あれを作るのが花火師…よっと」
ジャッカスが大きく振りかぶって投げたのは爆弾だ。どぉん!という音を立てて派手に火花が散る。
「おいジャッカス、お前また火薬を増や…」
「ほら、今だ!駆け抜けるよ!!」
機械生命体が一時的にいなくなった間を二人は見逃さなかった。銃を持ったまま地面を蹴る。止めてあったトラックに辿り着くと、リリィは荷台に飛び乗り銃を再び機械生命体の群れに向けた。
「あれって本当は夜に人類が打ち上げるものだったらしいよ」
ジャッカスが運転席に乗り込みながら言う。
「そうか。だが、今は夜が無い。」
「そうだけどさ。ちょっと見てみたくない?私たちレジスタンスにだって希望は必要だろう?」
リリィは荷台に手をかけてくる機械生命体に向かって銃を乱射した。
「平和になったら、か。」
勢いよくトラックが出発する音に、リリィのつぶやきはかき消される。
「人類に代わって戦う私たちの平和は…いつ訪れるんだろうな」

中編へ続く

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