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音大生の憂鬱

私は某打楽器が有名な音楽大学を卒業している。それだけ書くといかにも金持ちっぽく見えるが、その逆。私は奨学金を使わないと通えないほどの貧乏学生だった。

所属していたのは打楽器コース。最低限の楽器を持っていたら自分で楽器を買う必要が無い。だが、楽器ほど高価ではないにしても、マレットやスティックと呼ばれるいわゆるバチというやつを揃える必要があった。しかも私が通っていた音大は打楽器の人数がとても多く、アンサンブルを組む時には他の人とバチを合わせないといけない。

音大に通い始めて一年ほど経った時に体調を崩した私にとって、授業以外にアンサンブル等の練習に行くのはハードだった。練習に行かなかった結果、勝手にバチを決められてたこともあり、教えてもらえないこともあった。

本来、自分の得意な楽器のみをやっていればもっと楽だったのかもしれないが、典型的な優等生タイプだった私にはそれができなかった。パートに空きが出てしまったり、他の人とかぶってしまったら積極的に移った。損な性格だなと思っている。結果として、お金は無いのに次々とバチを買うことが求められてしまった。当時の価格で7000円~8000円ほど。今はもっと高いだろう。しかも体調が安定せず、バイトなどとてもできるような状態ではなかった。

自分の音大生活を考えて、他の人に勧めるかどうかと聞かれたら、おそらく勧めない。本当にプロのミュージシャンになりたいなら通うしかないが、自分の家の家系事情と照らし合わせてしっかり考えて欲しい。そして、我を通す覚悟をして欲しい。譲り合っていては自分が苦労するだけだ。

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hanasoraen
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