忘れていく
年齢のせいなのか、自分の脳みそがプルンプルンだからかは分からないけどどんどん忘れていく。
今週のはじめ、成人の日でしたよね。僕はいつものように整骨院で骨をバキバキならされていたんですが、院長と成人式の話になり、僕の時はねぇと喋ろうと思ったけどほとんどなんにも覚えていませんでした。
地元のタウン誌、『あわわ』の成人式特集で写真撮ってもらったことと、小学校の頃埋めたタイムカプセルを掘りに行ったこと、仲良しでボーリング行ったこと、を断片的に、というか写真が残ってるからその写真を覚えていた。というだけでどんなことがあって、とかは1つを除いて事細かく覚えていないのです。
なんとなく30歳の頃くらいまでは覚えていたような気がするんですけど、感情が大きく揺さぶられたことは覚えている。
しっかり脳裏に焼き付いているのは、同級生の女の子のYさんが式には来てなかったけど、タイムカプセル掘りには来ていて、みんな振袖、袴、スーツなのにその子だけ上下スウェットで、赤ちゃんを抱いていたこと。
なんかそれが衝撃的でそのシーンはしっかり覚えている。
当時は「同い年なのにもう赤ちゃんおる!」みたいな気持ちで、驚いて感情が動かされたから、今でも覚えているのでしょう。(今考えたら、式に行くような余裕が色々なかったのかもしれない。)
しかしそういうことを除いてはどんどん忘れていっている。
最近の出来事もどんどん忘れていって、物事に慣れてしまって感情が動かされることも減ってしまっているんだと思う。
大阪での役者時代の事も後半になるにつれて、全然思い出せない。誰かに言われて思い出すってことはあっても、「自分であれ覚えてるわ。」ってことがほとんどない。
芸人時代の事は割と覚えているけど、それもよく考えれば断片的である。
理由を考える。
ちょっと前にも書きましたが人は慣れるものである。
大阪での役者後半の事をほとんど覚えていないのは完全にこの『慣れ』でしょう。
稽古にも慣れ、舞台にも慣れ、なんとなく、こんなことをやればウケるっていうことも分かってきた後半はまさにそれで、1回目の公演と、10回目の公演では記憶の鮮明さが全然違う。
1回目の公演のセリフは今でも言えるし、きっかけ台詞まで覚えているけど、10回目の公演となるとセリフどころかタイトルも思い出せないってくらいの重症。(さすがにタイトルは言えるか?いやどうだろう)
もちろん印象に残ってる舞台が1つもないってことはないですよ。オフオフとか有限無限とかコントバトルとかPUNKとか言い出したらきりがないけど。それでも断片的なものもあるし脳に残る濃さが全然違うのである。
役者の皆さんで舞台でまくってる人ってどうなんだろ、全部覚えてます?覚えてる人マジ尊敬~
悲しい話で慣れてしまうと、感情を揺さぶられることもないのです。
初めてよしもとのオーディション『プレステージ』に合格した時はネタの内容も、合格音も、MCのの第一声も、応援してくれていた人の大きな拍手も全部覚えている。
けど、さかなDVDでは1度上に上がってから一番下まで落ちてまた最初からの1次オーディションで受かった時のことは全く覚えていない。baseよしもとの舞台に慣れたからでしょう。
だからウケることもなんとなく、こんな感じかなと小笑いに変換することくらいは出来るようになり、ずるんずるんに滑ったとしても、滑ってないように気づかれないような小手先の技を覚えてしまってからは、感情が揺さぶられなくなったので覚えていないんだと思います。
なんでも初めての1発目を覚えていても、それすら、どんどん上書きして慣れが侵食して忘れていく。
こんなに記憶に残すこともなくなり、忘れていくくせに。
なんであんなこと言ってしまったんだろう、とか、あの時なんでこんなふるまいをしたんだろうっていう舞台上の後悔、ごっつ滑った時のことは忘れることが出来ないんでしょう。
今でもふと思い出して死にたくなることがめちゃくちゃあるんです。
スーパーで買い物しながら、「あのイベントの段取りもっと出来たよなぁ」って考え込んでしまって背中に変な汗をかく。
電車に乗りながら「あのコーナーであんなこと言わなかったらよかった」って考え込んでしまってこめかみが痛くなる。
舞台をみながら「こういう場面自分の舞台でもあったな、あぁあの時もっとこうしたかったな」ってふいに思い出して手が震える。
こんなことばかりでございます。
みなさんはそんな経験ありますかい?
ここから先は
毎日記事を届ける試み部屋
マガジン購読者になると、基本的に毎日更新される記事(無料記事含む)を読んでいただけることになります。有料記事でしか読めない心の奥底までさら…
このご時世、サポートが励みになります。損はさせません。だって俺だぜ?