記事に「#ネタバレ」タグがついています
記事の中で映画、ゲーム、漫画などのネタバレが含まれているかもしれません。気になるかたは注意してお読みください。
見出し画像

第15回 王子の狐

年が改まり、。(まる)にも思うところがあるのでしょうか。近頃の。との会話やイラストに変化があるよう感じるこの頃です。さて、前回は親方がしじみ売りの子供に小判を手渡すシーンのイラスト。
。の二人への暖かいメッセージが届くことを祈ります。

次回の。(まる)のイラストは、28日(木)に公開予定です。

今回の伝言ゲームのテーマは瀧川鯉津さんの「王子の狐」です。

○落語会
芸協カデンツァ定期公演
会場:ミュージック テイト

つばなれ(※)とはいかないが、ご時世の中、まずまずの観客数。

※つばなれ:噺家さんの符牒で数が十以上になることをいう。十(とう)より先は“つ”が離れる。今回は観客数が10人に満たないという意味。
ひとつ、ふたつ……ここのつ。とう。

○演者、演目
桂竹千代 旭の味(新作落語)
昔昔亭喜太郎 初天神
春風亭昇吾 平林
瀧川鯉津 王子の狐

竹千代さんは、近頃、ますます高座での落ち着きがましたように感じる。昨年は、連日、兄弟子A太郎師匠の真打披露興行に番頭として大車輪の活躍の喜太郎さんも楽しい高座。昇吾さんは、今回も昇吾節炸裂の爆笑高座。

○ゲームのテーマとした演目
瀧川鯉津 王子の狐

概要
人間の男が美女に化けた狐を騙す物語。男は美女に化けた狐を言葉巧みに料理屋に連れ込み、酔わせ、眠らせる。支払いを美女に負わせ、男は土産の玉子焼きを携えて店を出る。男は知人宅へ土産を持参してことの顛末を吹聴する。しかし、稲荷信仰の厚い知人に男は諭され、脅され、批難される。この時、料理屋に残された美女は狐の正体がバレ、使用人に散々に追いかけ回され、手傷を追って料理屋から逃げ出す。再び場面転換。知人の対応に男は自らの仕打ちを反省し、考えを改める。お詫びのため狐の巣穴に向う。ここから先、男と狐のやりとりがサゲとなる。

御自身で明言されているが、鯉津さんは大のプロレスファン。出囃子はプロレスラーの入場曲、手拭いのデザインもチャンピオンベルトを模したもの。


【芸協カデンツァ YouTubeチャンネルより引用】
13:50過ぎから鯉津さんのエピソードトーク場面になります。


高座はプロレスラーよろしく、心意気が気持ちいい!
常に全開全力!
観客の期待も正面から受け止める!
高座の途中で力尽き、期待を受け止め切れず座布団に沈むことも辞さない!www

そんな鯉津さんだが、年が改まって定期公演の初高座・初トリ、今回はいつもと雰囲気が違った。いつもは長めのマクラで自身の気持ちの高まりを待って本編に入るイメージ。しかし、今回は、丁寧な挨拶の後、直ぐに噺のマクラから本編に入った。
本編は落ち着きと迫力に満ち、セリフ一つ一つが丁寧で聴き応えがあった。特に、物語の後半、本人は狐を騙して、してやったり、得意満面で土産を贈った男が、知人から受ける仕打ちに顔色を変えるシーンは印象的だった。最高の気分からの転落シーン。ここまで男の気分の高揚を少しずつ積み重ねて演じ、一瞬で気分が落ち込む。この落ち込みは狐に対する畏怖、申し訳なさ、知人(人間界)の評判への怯え……複雑な感情を想像させたが、鯉津さんはこの場面を顔色の変化のみで表現していた。なんとも落語らしい、と思った!

昨年との違いをひしひしと感じる高座だった!

数日後、別の高座でも落ち着きと迫力に満ちた高座だった。

今年は鯉津さんが化ける姿に注目したい!
もとい、鯉津さんの本領発揮に注目したい!

〇まとめ
・狐を騙し意気揚々の男の表情が変わる場面、鯉津さんの演技。
・2021年版の鯉津さんへの期待。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?